**毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。**薬局での患者対応で痛感するのは、「良かれと思った質問が逆効果になる」ことの多さです。フォローアップクエスチョンは相手との関係を深める有効な手段ですが、使い方を間違えると信頼関係を壊してしまいます。
今回は、実際の現場でよく見かける失敗パターンと、その改善方法をお伝えします。
フォローアップクエスチョンでよくある失敗パターン
1. 詰問・尋問になってしまう
NG例:
相手:「最近忙しくて疲れています」
自分:「なぜそんなに忙しいんですか?どんな仕事をしているんですか?いつから忙しいんですか?何時間働いているんですか?」
問題点:
- 質問を立て続けに浴びせている
- 相手が答える間もない
- まるで取り調べのような印象
改善方法:
相手:「最近忙しくて疲れています」
自分:「お疲れ様です。差し支えなければ、どんなお忙しさなのか聞かせていただけますか?」
→相手の回答を聞く
→「それは大変ですね。そういう時期って、どのくらい続くものなんでしょうか?」
2. プライベートに踏み込みすぎる
NG例:
相手:「家族で旅行に行きました」
自分:「どこに行ったんですか?いくらかかりました?ご主人はどんな仕事の方ですか?お子さんは何歳ですか?普段の家計はどうやりくりしているんですか?」
問題点:
- 個人的すぎる内容を聞いている
- 金銭的な話は特にデリケート
- 相手が答えたくない質問を強要している
改善方法:
相手:「家族で旅行に行きました」
自分:「それは良いですね!楽しい旅行になりましたか?」
→「お疲れもとれたのではないでしょうか?」
薬局でも、患者さんの家族構成や経済状況を根掘り葉掘り聞くのはNGです。相手が自然に話してくれる範囲で聞きましょう。
3. 否定的・批判的な質問
NG例:
相手:「新しい趣味を始めました」
自分:「そんなことして時間の無駄じゃないですか?もっと有意義なことはできないんですか?なぜそれを選んだんですか?」
問題点:
- 相手の選択を否定している
- 上から目線の印象
- 相手の気持ちを全く考�ていない
改善方法:
相手:「新しい趣味を始めました」
自分:「素晴らしいですね!どんな趣味ですか?」
→「楽しそうですね。始めたきっかけは何だったんですか?」
4. 自分の話にすり替える
NG例:
相手:「最近料理にハマっています」
自分:「料理ですか。私も料理するんですが、この前作った○○がすごく美味しくて…」(延々と自分の話)
問題点:
- 相手の話を聞く気がない
- フォローアップになっていない
- 自己中心的な印象
改善方法:
相手:「最近料理にハマっています」
自分:「それは楽しそうですね!どんな料理を作られるんですか?」
→相手の話を十分聞いてから
→「私も料理が好きなので、今度レシピを教えていただけると嬉しいです」
5. 答えを決めつける誘導質問
NG例:
相手:「転職を考えています」
自分:「きっと今の会社に不満があるんですよね?給料が安いんでしょう?上司が嫌なんですか?」
問題点:
- 勝手に理由を推測している
- 相手の真意を聞こうとしていない
- ネガティブな方向に誘導している
改善方法:
相手:「転職を考えています」
自分:「そうなんですね。どんなきっかけで転職を考えるようになったんですか?」
→相手の話を聞く
→「新しい環境で挑戦したいことがあるんですね」
シーン別NG質問と改善例
1. 仕事の話での失敗例
NG: 「仕事きついでしょう?給料安いんでしょう?辞めたいと思いませんか?」
OK: 「お仕事、どんなところが一番やりがいを感じますか?」
2. 家族の話での失敗例
NG: 「結婚しないんですか?子どもはまだですか?なぜ作らないんですか?」
OK: 「週末はどんな風に過ごされることが多いですか?」
3. 健康の話での失敗例
NG: 「太りましたね。運動しないからですよね?食べすぎなんじゃないですか?」
OK: 「最近、体調はいかがですか?何か気をつけていることはありますか?」
薬局でも、患者さんの生活習慣について聞く時は慎重さが必要です。
4. お金の話での失敗例
NG: 「年収いくらですか?家賃はいくらですか?貯金はありますか?」
OK: 「最近、何か楽しいことにお金を使いましたか?」
フォローアップクエスチョンを成功させるためのポイント
1. 相手の感情を最優先に考える
質問する前に「この質問で相手はどう感じるだろうか?」と一瞬立ち止まりましょう。
2. 「聞かせていただけますか?」の姿勢
命令形ではなく、お願いする姿勢で質問しましょう。
NG: 「教えて」「答えて」
OK: 「もしよろしければ」「差し支えなければ」
3. 相手が答えやすい質問から始める
いきなり核心的な質問ではなく、答えやすい質問から始めて、徐々に深い話に入りましょう。
4. 沈黙を恐れない
相手が考えている時間を大切にしましょう。すぐに次の質問をしないことも重要です。
5. 相手の「話したくない」サインを読み取る
- 表情が硬くなる
- 答えが短くなる
- 話題を変えようとする
こうしたサインを感じたら、無理に続けずに話題を変えましょう。
薬局での実体験から学んだ教訓
患者さんとの会話で失敗した経験から学んだことは:
失敗例:
患者さん:「最近眠れなくて…」
私:「なぜ眠れないんですか?ストレスですか?仕事が忙しいからですか?家庭に問題があるんですか?」
結果:患者さんが黙り込んでしまい、その後の関係がぎくしゃくした。
改善後:
患者さん:「最近眠れなくて…」
私:「それはお辛いですね。どのくらい前からそんな状態が続いているんでしょうか?」
→患者さんのペースで話を聞く
→「何か心配事があると眠れないこともありますよね。無理のない範囲で結構ですので…」
まとめ
フォローアップクエスチョンの失敗は、多くの場合「自分の興味」を優先して「相手の気持ち」を軽視することから起こります。薬局での患者対応で学んだのは、技術よりも相手への思いやりが一番大切だということです。
質問をする前に一呼吸置いて、「この質問は相手のためになるだろうか?」と考える習慣をつけましょう。そうすれば、きっと相手に寄り添った、温かいコミュニケーションができるようになるはずです。
失敗を恐れず、でも相手の気持ちを大切にしながら、フォローアップクエスチョンのスキルを磨いていってください。