**毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。**薬局での患者対応で学んだのは、信頼関係の構築に「聞き方」が決定的に重要だということです。薬の説明だけでなく、患者さんの悩みや不安を引き出すためのコミュニケーション術は、営業での商談にも直結します。
お客様の本当のニーズを引き出し、信頼を勝ち取るフォローアップクエスチョンの活用法をお伝えします。
営業におけるフォローアップクエスチョンとは
フォローアップクエスチョンとは、お客様の発言に対してさらに深掘りして聞く質問のことです。表面的な会話から一歩踏み込んで、相手の真の課題やニーズを探り出す効果があります。
営業での重要性
薬局で患者さんが「最近調子が悪くて…」と言った時、「そうですか」で終わるのと「どんな風に調子が悪いんですか?」と聞くのでは、得られる情報量が全く違います。営業も同じで、お客様の一言を深掘りすることで、本当の課題や要望が見えてきます。
シーン別フォローアップクエスチョン実例
1. 課題・問題のヒアリング時
お客様: 「最近、売上が思うように伸びなくて困っています」
基本的な反応: 「そうなんですね、大変ですね」
フォローアップクエスチョン:
- 「売上が伸び悩み始めたのは、いつ頃からでしょうか?」
- 「特にどの商品・サービスで苦戦されているのですか?」
- 「売上目標に対して、現在はどのくらいの達成率でしょうか?」
- 「お客様の中で、何が原因だとお考えですか?」
このように具体的に聞くことで、漠然とした「売上不振」から具体的な課題が浮き彫りになります。
2. 現在の取り組みについて
お客様: 「今も色々と対策は打っているんですが…」
基本的な反応: 「頑張っていらっしゃるんですね」
フォローアップクエスチョン:
- 「具体的にはどのような対策を実施されていますか?」
- 「その中で、特に効果を感じているものはありますか?」
- 「逆に、思ったほど効果が出ていないものはありますか?」
- 「対策を打つ上で、何か課題や制約はありますか?」
3. 予算・投資について
お客様: 「予算的にも厳しい状況で…」
基本的な反応: 「予算の制約があるんですね」
フォローアップクエスチョン:
- 「今回のような投資の場合、どのくらいの予算感でお考えでしょうか?」
- 「投資対効果として、どのくらいの期間で回収したいとお考えですか?」
- 「予算承認のプロセスは、どのような流れになりますか?」
- 「予算以外に、導入の判断で重視される要素はありますか?」
信頼関係を築くフォローアップクエスチョンのコツ
1. 相手の感情に共感する
薬局で患者さんが不安を口にした時、まずその気持ちに共感してから質問することで信頼関係が深まります。営業でも同じです。
例:
- 「それは大変でしたね。具体的にはどのような…」
- 「お気持ちよくわかります。その時の状況を詳しく聞かせていただけますか?」
2. 相手の立場で考えて質問する
営業的な質問: 「弊社のサービスに興味はありますか?」
相手の立場での質問: 「この課題を解決する上で、一番重視されるポイントは何でしょうか?」
3. 過去・現在・未来の時間軸で聞く
過去: 「これまでにも同様の課題はありましたか?」
現在: 「現在、最も優先的に解決したいのはどの部分ですか?」
未来: 「理想的な状態になったら、どんな変化を期待されますか?」
実際の商談での活用例
ケース1:IT導入の商談
お客様: 「今のシステムが古くて、みんな困っています」
営業担当A(基本的な反応): 「それでしたら、弊社の新システムがおすすめです」
営業担当B(フォローアップクエスチョン): 「古いシステムで、具体的にはどのような困りごとが起きているのでしょうか?」
→「そうなんですね。それは業務にどの程度影響していますか?」
→「もしそれが解決したら、どのような効果を期待されますか?」
どちらがお客様の信頼を得やすいかは明らかですね。
ケース2:コンサルティング営業
お客様: 「人材育成に課題を感じています」
深掘りの流れ:
- 「どのような課題でしょうか?」
- 「それはいつ頃から感じるようになりましたか?」
- 「現在、何か対策は取られていますか?」
- 「理想的な人材育成ができたら、どんな変化があると思いますか?」
このように段階的に聞くことで、表面的な「人材育成の課題」から具体的なニーズが見えてきます。
やってはいけないフォローアップクエスチョン
1. 詰問のような質問
NG例:
- 「なぜそうなったんですか?」
- 「どうしてもっと早く対策しなかったんですか?」
相手を責めるような質問は信頼関係を壊します。
2. 自社商品ありきの誘導質問
NG例:
- 「○○機能があったら便利ですよね?」
- 「××はお困りではないですか?」
相手のニーズを無視した押し付けがましい質問はNGです。
3. プライベートすぎる質問
NG例:
- 「社長の年収はいくらくらいですか?」
- 「他社からはどんな提案を受けていますか?」
4. 質問の連続攻撃
一方的に質問ばかりすると、お客様は尋問されているような気分になります。適度に自分の考えや情報も提供しましょう。
フォローアップクエスチョンを使う際の注意点
1. 必ずメモを取る
相手が話してくれた内容をメモすることで、「真剣に聞いてくれている」という印象を与えます。
2. 答えに対してリアクションを示す
「なるほど」「それは大変でしたね」など、相手の話に対してきちんと反応しましょう。
3. 時間を意識する
質問に夢中になって時間を超過しないよう注意が必要です。
4. 相手のペースに合わせる
話すのが好きな人、慎重な人、忙しい人など、相手のタイプに応じて質問のペースを調整しましょう。
まとめ
営業でのフォローアップクエスチョンは、お客様との信頼関係を築く最も重要なスキルの一つです。薬局での患者対応と同じで、相手の話をしっかり聞き、本当に困っていることを理解しようとする姿勢が何より大切です。
商品やサービスを売ることよりも、まずはお客様の課題を正確に把握することに集中しましょう。そうすれば、お客様にとって本当に価値のある提案ができるようになり、結果として信頼され、選ばれる営業担当者になれるはずです。
次回の商談では、「売る」ことよりも「聞く」ことを意識して、フォローアップクエスチョンを活用してみてください。