毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。さっきも患者さんに検査をおすすめしたら「考えておくよ」と逃げられました。
ローボールテクニックって聞いたことありますか?最初にお得感を出して承諾させ、後から条件を上乗せするあの手法です。
ズルいようで、ちゃんと使えば双方にメリットがあるんです。
読者の悩み:承諾をもらっても直前で覆される
せっかく相手が「やります」と言ってくれたのに、後から「やっぱりやめます」と断られた経験、ありませんか。薬の変更を提案して一度はうなずいてくれた患者さんが、会計前に突然不安になって拒否する。営業でも見積もりにOKをもらったのに、後日「上司がNGで」とキャンセルされる。この土壇場のひっくり返し、マジで堪えます。
なぜ人は気が変わるのか
人は承諾した後でも、新しい情報が入ると簡単に態度を変えます。特に負担やリスクが見えた瞬間、「やっぱ無理」となる。ローボールテクニックは、この心理を逆手に取って最初にハードルを低く見せるんです。
ズルい?それとも正当?
確かに聞こえは悪い。けど、後出しの条件が常識の範囲内で、相手も最終的に満足するなら問題はない。むしろ正直に全部並べても相手は混乱して逃げてしまうので、段階的に伝える方が親切な場合もあります。
原因解説:ローボールが効く仕組み
ローボールは、コミットメントと一貫性の原理に基づいています。人は一度「やる」と口にすると、その言葉に縛られやすい。「やるって言ったよね?」と言われると、多少条件が変わっても断りづらくなるわけです。
コミットメントの力
最初は安い価格や軽い作業を提示して承諾してもらう。相手は心の中で「もう決めた」と思い込みます。その後で「実は保証を付けると追加費用が」とか「詳細な検査には別途時間が」と条件を足しても、すでに腹をくくっているから逃げにくい。
実際の現場例
僕が新人のころ、先輩がワクチン接種の予約を取り付けるときに使っていました。「今なら無料ですよ」と伝えて予約を受け付ける。後で書類を送る際に「接種後の経過観察に30分残ってください」と付け加える。患者さんは驚きますが、「予約しちゃったから」と来てくれるんです。
解決手順:ローボールの正しい使い方
悪用する人もいるのでイメージが悪いですが、信頼を失わずに使う方法はあります。
ステップ1: 最初の提案をシンプルに
相手が一番気にするポイントだけを提示します。価格なら価格、時間なら時間。余計な情報は後回し。とにかく「それならできそう」と思ってもらうことが第一。
ステップ2: 承諾を引き出す
シンプルな提案で「やります」と言ってもらったら、そこで一旦会話を区切ります。人は自分の言葉に責任を感じるので、その瞬間がコミットメントの始まりです。
ステップ3: 後から条件を追加する
承諾をもらった後、必要な追加条件を丁寧に伝えます。「実はこの薬、最初の1週間だけは副作用が出やすいので注意が必要です」とか「配送料が別途かかります」といった具合。ここで誠実さが試されます。
実践例・注意点
ローボールは便利ですが、使い方を間違えるとクレームになります。実践例を通してポイントを整理しましょう。
薬局での成功例
ある患者さんにジェネリック医薬品への変更を提案したとき、まず「自己負担が大幅に下がりますよ」とだけ伝えて承諾を得ました。その後で「ただし最初の1週間だけ在庫の関係で薬が分かれます」と説明しましたが、患者さんは「もう決めたから大丈夫」と納得してくれました。
営業での失敗談
知人の営業マンは、最初に破格のキャンペーン価格を提示して契約を取り付けたものの、後から細かい費用を大量に加えて顧客の怒りを買いました。結局契約は白紙、信頼もゼロ。条件の追加は最小限にするべきだと痛感させられました。
倫理的なライン
医療現場では特に、患者さんの不利益になるような隠し事は絶対にNGです。説明責任を果たした上で、相手が納得したら進める。これが最低限のマナーです。
心理学的背景
チャルディーニの一貫性の原理では、人は自分の言動を一致させたいという欲求を持ちます。ローボールはその弱点を突いているとも言える。だからこそ使う側には自制心が求められます。
実験データ
大学の実験で、学生に「ボランティアに参加しませんか?」と聞き、承諾した後に「実は朝6時集合なんです」と伝えたところ、多くの学生が参加を続行したという結果があります。先に承諾したことが、後からの面倒な条件も受け入れさせたわけです。
負担が増えたときのフォロー
条件を追加するときは、「嫌ならやめてもいいですよ」と逃げ道を残すと信頼が保てます。相手の意思を尊重する姿勢があれば、多少の条件変更でも不満は減ります。
よくある質問
Q1: どこまでなら許される?
法的に問題ない範囲でも、常識から外れた条件を後出しすると関係が壊れます。自分が逆の立場だったらどう感じるかを常に考えてください。
Q2: 正直に全部伝えるべきでは?
もちろん最終的には全部伝えます。ただし最初から盛り込みすぎると相手は混乱します。段階的に出す方が理解しやすいんです。
Q3: キャンセルされたらどうする?
ローボールでもキャンセルは起こります。そんなときは無理に引き止めず、次に活かすためのフィードバックをもらうのがベストです。
まとめ
ローボールテクニックは、一度承諾を引き出してから条件を追加する巧妙な説得法です。コミットメントと一貫性を利用するため強力ですが、信頼を失わないよう細心の注意が必要。小さく始めて徐々に情報を開示することで、相手も納得した上で前に進めます。現場で試すときは、相手の表情や反応を細かく読み取りながら調整してください。
明日から試そう
いきなり仕事で使うのが不安なら、プライベートで練習しましょう。友人に「今度ランチ行こうよ」と誘い、了承を得てから「実はちょっと遠い店なんだけど」と条件を追加してみる。相手の反応を観察しながら、自分なりのバランスを探ってください。場数を踏めば、必要なときに自然と使えるようになります。
追加の練習方法
ローボールは段階的に情報を出す技術なので、シナリオを用意して練習すると効果的です。紙に「初期提案」「承諾後に伝える条件」を書き出し、声に出して読む。たったこれだけで、本番でも落ち着いて話せます。僕は夜勤の合間に一人でブツブツ練習していました。
失敗例から学ぶ
あるとき僕は、患者さんにサプリの定期購入を勧めた際、後から追加の送料を伝えるのを忘れてしまい、後日クレームになりました。ローボールは情報を小出しにする手法ですが、重要事項を隠してはダメ。言い忘れたことに気づいたらすぐに連絡し、正直に謝ることが信頼を守る一番の近道です。