毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。専門用語を並べるほど、相手の表情が固くなる…そんな瞬間、ありますよね。私も昔は「RAAS」「HbA1c」なんて言葉を連発して、患者さんを置いてけぼりにしていました。今は逆に、専門語を封印したほうが会話がスムーズだと実感しています。
この記事では、健康相談で信頼を得るための「非専門語」の使い方をまとめました。実際に現場で刺さった言い換え例、注意点、練習法をたっぷり紹介します。忙しい日でもそのまま使えるフレーズを揃えたので、今日から試してみてください。
読者の悩み:専門語を減らしたいけど時間がない
説明するほど相手が黙ってしまう
専門用語を重ねると、患者さんは途中で頷くだけになり、本音を引き出せません。私も「聞いてないな」と感じる瞬間が多く、信頼を築けずに終わることがありました。
言い換えの引き出しが少ない
いざ言い換えようとしても「どんな表現がいいんだっけ?」と詰まる。結果として、結局専門語をそのまま使ってしまうことも多い。
非専門語を使う3つの原則
1. 生活シーンで置き換える
体の中の話を、日常の動作に置き換えます。
- 血圧の薬 → 「ホースの水圧を弱めるバルブ」
- 血糖値 → 「ガソリンの量が多すぎる状態」
2. 動詞を具体的にする
「改善させる」より「むくみを減らす」「息切れを楽にする」のように、体感を描く動詞を使う。
3. 1フレーズ1メッセージ
一文に情報を詰め込まない。「この薬は胃を守る薬。飲むタイミングは食後。」のように分けるだけで伝わりやすくなります。
シーン別の言い換えフレーズ
血圧・心臓
- 「心臓のポンプが楽に動ける薬です」
- 「血管のホースを柔らかくして、圧を下げます」
- 「塩分はスポンジみたいに水を吸って、血圧を上げます」
血糖・体重
- 「血糖はガソリン。余ると倉庫(脂肪)に溜まります」
- 「インスリンは鍵。鍵が足りないとドアが開かない」
- 「体重計は毎日の通信簿。週1回は数字を見ましょう」
服薬・副作用
- 「薬は毎日同じ時間のほうが、体のリズムが整います」
- 「むかつきが続いたら、お腹のSOSです。電話ください」
- 「眠気が強いときは、車の運転は休憩してください」
体験談:言い換えで信頼を取り戻した瞬間
ケース1:糖尿病で不安な若い男性
専門語を避け、「血糖はガソリン」「鍵が足りないとドアが開かない」と伝えたところ、表情が柔らかくなり「それならイメージできる」と返答。以降、自己測定を続けてくれています。
ケース2:心不全で疲れ切った高齢女性
「心臓を休ませるお薬です。重い荷物を下ろすイメージ」と伝えたら、「それなら頑張れる」と笑顔に。専門語よりも、生活の比喩が効くと実感した場面でした。
非専門語を使うときの注意点
過度な簡略化を避ける
わかりやすくしすぎると誤解を招くことも。「塩分ゼロにしてください」ではなく「汁物を1日1杯にしましょう」など、現実的なレベルに落とし込む。
感情に寄り添う一言を添える
非専門語に変えるだけでなく、「不安ですよね」「面倒ですよね」と感情に触れる一言を入れると、信頼のスピードが上がります。
患者さんの言葉をそのまま使う
患者さんが使った表現をメモし、次回も同じ言葉で返すと「覚えてくれている」と感じてもらえます。私はカルテに「患者さんの口グセ欄」を作り、そこから言い換えのヒントを引き出しています。
練習法:5分でできる言い換えトレーニング
1. 専門語リストを作る
「血圧」「血糖」「副作用」など、よく使う専門語を10個書き出す。
2. それぞれに比喩を1つつける
ホース・鍵・倉庫・バルブ…何でもOK。自分がイメージしやすいものを選ぶのがポイント。
3. 音読して語尾を整える
「〜です」「〜してください」で終わるように音読し、語尾をそろえると口に出しやすくなります。
私は休憩中にこの練習を続け、1週間で言い換えの引き出しが倍に増えました。
チームで共有すると効果倍増
非専門語カードを作って貼る
バックヤードに「血圧=ホースの圧」「血糖=ガソリン」などのカードを貼り、全員が同じ表現を使えるようにしています。新人もすぐに真似でき、患者さんに同じ言い回しで説明できるようになりました。
事務スタッフにも共有
受付スタッフが同じ非専門語を使うと、待ち時間の会話でも安心感を伝えられます。実際に「ここは説明がわかりやすい」と口コミが増えました。
よくあるNGと改善例
NG1:専門語+カタカナの連発
「エビデンス的には」「コンプライアンスが」などカタカナ続きは避ける。代わりに「続けると体が楽になりますよ」のように、結果を伝える言葉に置き換えます。
NG2:抽象的な励ましだけ
「頑張りましょう」だけでは動けません。「今日は汁物を1杯までにする」など、具体的な行動を添えましょう。
NG3:相手の文化・生活を無視した比喩
釣りが好きでない人に「釣り竿で例えると…」と話しても刺さりません。相手の仕事や趣味を聞いてから、比喩を選ぶのが基本です。
相談内容別のミニフレーズ集
眠れない相談
- 「頭のスイッチをゆっくりオフにする薬です」
- 「寝る30分前に、スマホのライトを消すと薬が効きやすいです」
便秘の相談
- 「腸の水分を増やして、滑りを良くする薬です」
- 「水と油を足して滑らせるイメージ。水をコップ1杯足してください」
花粉症の相談
- 「鼻の内側にバリアを作って、花粉を弾く薬です」
- 「マスクの内側を掃除するイメージで、スプレーを左右に1回ずつ」
非専門語を使い続けるための仕組み
相談後に「刺さった言葉」をメモ
患者さんが笑顔になった瞬間のフレーズを必ずメモ。次回の会話のトップバッターにすると、信頼の積み上げが早くなります。
月1回の「言い換え共有会」
スタッフで月1回、刺さった非専門語を持ち寄る会を開催しています。5分の情報共有でも十分効果的。私もそこでもらった表現で、翌日から会話が楽になりました。
まとめ:専門語を削るだけで信頼は深まる
非専門語は、患者さんに「自分の言葉で話してくれた」と感じてもらうためのツールです。忙しい日こそ、専門用語を減らし、生活の言葉に置き換える。これだけで健康相談の空気が柔らかくなり、信頼が早く積み上がります。明日から1つでいいので、新しい言い換えを試してみてください。
非専門語を選ぶときのチェックポイント
相手の生活道具に例える
農家には「ホース」より「用水路」、ITエンジニアには「バッテリー残量」のように、相手の道具に合わせると刺さります。私は趣味や仕事を雑談で聞き、そこから比喩を選ぶようにしています。
数字は2つまでに絞る
「1日2回」「3日続いたら受診」など、数字は最大2つに。数字が増えると非専門語も頭に入りにくくなります。
表情を見て削る
相手の眉間にシワが寄ったら、説明を半分に削るサイン。私は「難しく聞こえました?では一言で言いますね」と切り替えています。
フォローで信頼を強化する
メモや付箋で言い換えを持ち帰ってもらう
相談後に、使った非専門語をそのまま紙に書いて渡します。「血糖=ガソリン」「塩分=スポンジ」など短いメモでも、家族にも共有しやすくなります。
次回来局で同じ言葉を繰り返す
リピートすると「この薬剤師は私の話を覚えている」と感じてもらえます。面倒でも、カルテに「次回もこの比喩で」とメモしておくとブレません。
体験談:失敗からの学び
比喩がズレて逆効果
「エンジンオイル」と例えたところ、車に詳しくない方で逆に混乱させてしまいました。それ以来、「この例え伝わりますか?」と一言確認してから進めるようにしています。
専門語を完全に排除して誤解された
「血圧の数字」をあえて言わなかったら、重要性が伝わらず薬をやめられてしまったことが。非専門語に置き換えても、数字などのキーファクトは短く伝える必要があります。
相談ジャンル別・最短フレーズ
喉の痛み
- 「喉の壁に絆創膏を貼るイメージの薬です」
- 「声を使う前に水を一口飲むと、薬が広がります」
肩こり
- 「固まったゴムを温めて柔らかくする薬です」
- 「お風呂上がりに塗ると伸びが良いですよ」
更年期相談
- 「体の温度調整がブレやすい時期を整える薬です」
- 「急なほてりが来たら、深呼吸と水分をセットで」
練習用ワークシートの作り方
- A4紙を3列に折り、「専門語」「非専門語」「患者さんの言葉」と書く。
- 相談を受けたら、専門語を左に、思いつく非専門語を真ん中に、実際に患者さんが口にした言葉を右にメモ。
- 帰りの時間に空欄を埋めるだけで、翌日から使える自分だけのフレーズ集ができます。
トーンとスピードの工夫
ゆっくり・短く・間を取る
非専門語でも早口だと伝わりません。私は「一文→間→一文」を意識し、相手が頷くまで次の文に進まないようにしています。
声の高さを少し下げる
落ち着いたトーンで話すと、非専門語の柔らかさが際立ちます。焦っているときほど、深呼吸してから話し始めます。
まとめの前のひと押し
「今日のキーワードは『ホースの圧』『ガソリン』『鍵』でしたね。どれが一番イメージしやすかったですか?」と最後に確認するだけで、患者さんが自分の言葉で要約し直してくれます。その瞬間に信頼が一段深まるのを感じます。
もう一歩踏み込むリアルな使い方
家族が同席しているとき
家族の前では、より日常的な言葉を選ぶと家族の協力が得やすいです。「この薬は心臓の荷物を軽くする手伝いです。家で階段を上る前に一呼吸置いてください」と伝えると、家族が「じゃあ階段の手すりを使おう」と自然にサポートしてくれました。
忙しいビジネスパーソンの場合
「この薬はデスクトップのクリーンアップみたいなものです。寝る前に一度整理すると翌朝が軽いですよ」と伝えたら、すぐに飲み忘れ防止のリマインダーを設定してくれました。仕事の比喩は反応が早いです。
まとめ
専門語を減らし、生活の言葉に置き換えるだけで、健康相談は驚くほどスムーズになります。非専門語は「相手の世界に降りる」合図。今日から1相談につき1つ、言い換えを試し、刺さったフレーズをメモしていきましょう。気づけば、患者さんのほうから「この前の例え、家族に話しましたよ」と声をかけてもらえるようになります。

