毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。説明が長くなると自分でも飽きるし、患者さんの目が泳ぐのを見ると心が折れますよね。だからこそ、私はどんな説明も「3行で要約する」クセをつけています。最初は面倒でしたが、慣れるとむしろ楽になります。
ここでは、高血圧の服薬指導からOTC相談まで、あらゆる場面で使える3行要約法を紹介します。要約のテンプレート、注意点、練習例をセットでまとめました。忙しい日にそのまま口にできる文例も多めです。
読者の悩み:説明しても伝わった実感がない
「はい」と返事されても理解度がわからない
説明が長くなると、患者さんは途中で聞くのをやめて「はい」と返事だけします。私も「伝わった」と思いきや、次回来局で全く覚えていないケースを何度も経験しました。
専門用語が多くなりがち
薬剤名や作用機序を丁寧に話したつもりでも、専門用語が壁になります。特に高齢の方や、医療に不安を持つ人には「結局何をすればいいの?」だけを知りたいことが多い。
解決策:3行要約の基本形
1行目:ゴールを示す
「何のための説明か」を最初に宣言します。例:
- 「今日の薬は血圧を下げて脳・心臓の負担を軽くするためのものです」
2行目:行動を1つだけ伝える
「今日から何をするか」をシンプルに。例:
- 「夕食後に1日1回、毎日忘れず飲んでください」
3行目:守れないときの保険を伝える
失敗したときのリカバリーを伝え、安心感を作ります。例:
- 「飲み忘れたら翌朝に1回だけ飲んでOKです。それ以上はまとめて飲まないでください」
この3行を守るだけで、患者さんの顔つきが変わります。実際、説明後に「それならできそう」と返ってくる確率が上がりました。
3行要約を磨くコツ
1. 1行20文字以内を目指す
長い文章は区切り、文の主語と目的をはっきりさせる。私は「20文字ルール」を作り、説明の前に頭の中で削っています。短くするほど患者さんの復唱率が上がります。
2. 形容詞より動詞を使う
「しっかり」「きちんと」など曖昧な言葉は避け、「飲む」「測る」「控える」のように動作が伝わる動詞に置き換えます。
3. 例え話を1つだけ入れる
比喩は強力ですが、入れすぎると混乱します。「血圧の薬はホースの圧を下げるバルブ」など、イメージを1つに絞りましょう。
3行要約テンプレート集
服薬指導(高血圧)
- 「血圧を安定させて心臓を守る薬です」
- 「夕食後に1日1回飲んでください」
- 「飲み忘れたら翌朝1回だけ飲み、2回分はまとめないでください」
服薬指導(糖尿病)
- 「血糖をゆっくり下げて合併症を防ぐ薬です」
- 「朝食前に1回、食べる前に飲んでください」
- 「食べられない日は医師に電話して指示をもらってください」
OTC相談(胃のムカつき)
- 「胃の荒れを落ち着かせる市販薬です」
- 「食後に1日3回、水で飲んでください」
- 「2日飲んでも良くならなければ受診してください」
生活指導(減塩)
- 「血圧を下げるための減塩の話です」
- 「味噌汁を1日1杯までにしてください」
- 「家で食べる回数が増えたら、その日だけ水を多めに飲んでください」
h3タイトル
生活指導(運動)
- 「血糖を下げるための軽い運動です」
- 「1日10分だけ早歩きをしてください」
- 「雨の日は家で足踏みを3分だけでも大丈夫です」
練習法:カルテの余白で準備する
1分で書けるミニ台本
患者さんが待っている間に、カルテの余白に「ゴール」「行動」「保険」の3つを書き出します。箇条書きにするだけで、口から出る言葉が整理されます。
3行を患者さんに復唱してもらう
説明後に「3つだけ確認させてください」とお願いし、患者さん自身に復唱してもらうと理解度が一目でわかります。もし詰まったら、言い回しをさらに短く。
現場で起きた変化
時短になり、ミスが減った
3行要約を始めてから、説明時間が1~2分短縮しました。その分、疑問を聞く余裕が生まれ、薬の飲み合わせチェック漏れも減りました。
高齢の方の表情が柔らかくなった
難しい話を省き、具体的な行動だけに絞ったことで、表情がほっと緩むのを何度も見ました。「これならできる」と思ってもらえることが、継続の第一歩です。
よくある失敗と修正例
失敗1:情報を詰め込みすぎる
「薬の作用」「副作用」「生活指導」を1回で全部伝えようとすると、結局どれも伝わらない。3行に入り切らない内容は、次回来局や配布資料に回しましょう。
失敗2:数字ばかり並べる
「1日2回、8時間おき、食後30分以内」など数字が多いと混乱します。優先順位を決め、最重要な数字だけ残します。どうしても複数必要なときは、紙に図で書くのがおすすめです。
失敗3:患者さんの言葉に合わせない
カタカナが苦手な方には「血圧のお薬」、スマホ世代には「リマインダーを一緒にセットしましょう」と言い換える。3行要約は短い分、言葉選びが命です。
具体事例:3行にしたら伝わったケース
ケース1:多剤併用の高齢者
以前、5種類の薬を飲む方に「とりあえず全部大事です」とだけ伝えていたら飲み忘れが続出。3行要約を使い「血圧の青い錠剤だけ朝」「白い錠剤は食後」「忘れたら翌朝1回だけ」と色と行動をセットで伝えたら、一気に飲み忘れが減りました。
ケース2:生活習慣がバラバラな夜勤者
夜勤明けの看護師さんには「薬の時間」を固定できず悩んでいました。3行で「心臓を守る薬」「夜勤がある日は夕食後、それ以外は朝食後」「飲み忘れても1日1回まで」を伝えると、自分でスケジュールを組んでくれるように。
まとめ:3行なら続けられる
3行要約法は、面倒な説明を削ってエッセンスだけを残す技術です。最初は不安でも、繰り返すうちに口癖になり、患者さんの復唱が増えていきます。明日から「ゴール」「行動」「保険」の3行を書き出してみてください。説明が短くなるほど、信頼も積み重なります。
3行を作るときのチェックリスト
患者の生活シーンを入れるか
「仕事終わり」「朝の支度中」など、どの場面で行動するのかを1語入れるとリアリティが増します。私は「朝のコーヒー前に」「夜の歯磨き後に」と添えるだけで実行率が上がるのを実感しました。
「やれそう度」を確認したか
最後に「これならできそうですか?」と必ず聞く。患者さんが渋い顔をしたら、その場で3行を短く作り直します。即興で削るには、余計な形容詞を外すのがコツです。
保険の行動が具体的か
「不安になったら連絡してください」では動けません。「飲み忘れたら翌朝1回だけ」「症状が続いたら〇日目で受診」など、具体的な数字を入れます。
3行要約の練習問題
問題1:花粉症の点鼻薬
- ゴール:鼻の炎症を抑え、息苦しさを減らす
- 行動:朝晩1回ずつ、両鼻にスプレー
- 保険:くしゃみが止まらない日が3日続いたら受診
この3要素を20文字以内で並べる練習をすると、自然に短い言葉が出てくるようになります。私は新人教育でこの練習を繰り返し、1週間で全員が即興要約できるようになりました。
問題2:OTCの鎮痛薬
- ゴール:頭痛を一時的に和らげる
- 行動:痛いときに1錠、水でゆっくり飲む
- 保険:1日2回まで。3日続く痛みは受診
チームで使うとブレが減る
スタッフ共有ボードを作る
バックヤードにホワイトボードを置き、よく使う3行を貼り出しています。「血圧」「花粉症」「胃薬」「便秘」の4ジャンルだけでも、誰が説明しても同じ質を維持できます。
3行復唱タイムを朝礼で実施
朝礼で一人1テーマを10秒で説明し、全員でブラッシュアップする時間を作りました。これだけで新人の説明力が一気に伸び、患者さんからの質問が減りました。
例外対応:3行に収まりにくいとき
複雑な副作用説明
抗がん剤など副作用が多い場合は、3行に「観察ポイント」を1つだけ入れ、残りは紙にまとめて渡します。口頭は最低限、紙で補足。これなら患者さんも混乱しません。
家族への説明が必要なとき
家族と本人で別々に3行を作ります。「家族への3行」で服薬サポートの役割を明確にすると、家族が協力しやすくなります。
追加の具体例
ケース3:ストレス性胃痛の社会人
「胃を休ませる薬です」「昼食後に1回飲む」「3日で変わらなければ受診」この3行をメールで送ったところ、「短くて助かった」と返信が。メールやLINEでも3行は強いと再認識しました。
ケース4:サプリを多用する方
「飲み合わせが心配なので」「今あるものを紙に書き出して」「次回一緒に整理しましょう」と3行で宿題を設定。結果、次回にリストを持参してくれて、無駄な重複を減らせました。
より深く伝えるためのフォロー
3行+配布資料の合わせ技
3行で核心だけ伝え、詳しい内容は1ページの配布資料で補完します。資料の冒頭にも同じ3行を印刷すると、患者さんが家で見返したときに混乱しません。
次回来局で3行を再確認
フォロー時に「前回の3行覚えてますか?」と聞くと、記憶の定着度がわかります。覚えていなければ、さらに短く、もしくは別の例えに置き換えます。
まとめの一歩先
3行要約法は、説明を削る技術であると同時に、患者さんに「できそう」という自信を与えるコミュニケーションでもあります。忙しい日こそ、要点を3行に絞り、患者さんと目を合わせて確認する。この習慣を続ければ、説明が短くなるだけでなく、信頼の貯金も確実に増えていきます。
3行を使ったセルフチェック表
- 3行の中に数字は1つまでに絞ったか
- 行動が「いつ・どこで・どうやって」まで描けているか
- 飲み忘れ時の行動が、患者さんの生活に合わせているか
- 3行を患者さん自身が口に出せたか
この4項目を終業前に振り返るだけで、説明の質が安定します。私も毎日のセルフチェックとして使い、1日の疲れをリセットする習慣になりました。
3行が出てこない日に試す裏ワザ
- まず「ゴールだけ」声に出す。次に「行動だけ」、最後に「保険だけ」と分けて口にすると整理しやすい。
- 3行の順番を入れ替えてみる。保険→ゴール→行動の順で話すと、安心感が先に伝わり、焦っている患者さんに響きます。
- 同僚に30秒電話して聞いてもらう。口に出すだけで、余計な言葉が削ぎ落とされます。
どれも私が忙しい夜に実践してきた小技です。完璧を目指すより、まず3行で伝える習慣を続けること。気づけば、説明が短くても「わかった!」と言ってもらえる瞬間が増えていきます。

