自己肯定感を高める会話習慣

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毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。調剤室のカウンター越しでも、言葉の選び方ひとつで患者さんの顔色が変わるのを何度も見てきました。今日は「小さなでき!」を会話に混ぜ込んで自己肯定感を底上げする習慣をお伝えします。面倒くさがりの私でも続いた方法なので、きっと誰でも取り入れやすいはず。

目次

なぜ「小さなでき!」を口にすると自信が育つのか

「自信がないんです」と落ち込む患者さんに、私はよく「さっきの説明、ゆっくり聞けていましたね」と伝えます。するとほんの数秒で表情が緩むんですよね。脳は言葉をトリガーにして自分の行動を再認識します。大きな成果を待つより、今日の小さな「できた」を拾って言語化するほうが、自己肯定感の貯金が早いんです。

否定語が反射で出るときのブレーキ

忙しいと「いや、全然…」「ダメでした」が口癖になりがち。そんなときは、いったん呼吸を整えてから「でも、ここはできた」をセットで言う癖をつけます。私も夜勤明けでイライラしていた時期、薬歴の入力を終えた瞬間に「今日も入力ミスゼロだった」と口に出すだけで、自己否定の波が静まりました。

言葉の「重さ」は短さで決まる

「すごく」「めっちゃ」を多用すると、褒め言葉がインフレします。代わりに「できた」「進んだ」「待てた」と一語で締めると、脳がシンプルに成果として記録します。患者さんに「今日は並ばずに受け取れたね」と伝えると、短いのに満足度が上がるのはこのせいです。

習慣化のステップ:朝・昼・夜で分ける

小さな「でき!」は1日に3回拾うと定着しやすいです。薬局の現場で試したタイミングを紹介します。

朝:スタートダッシュを言語化

出勤直後はバタバタしますが、私は「開店前に在庫チェック終えた」「笑顔で最初の挨拶できた」を短く宣言します。声に出せない環境なら、心の中でつぶやくだけでもOK。モードが「できる自分」に切り替わり、午前中のクレームも受け流しやすくなりました。

昼:疲れをほぐすミニ報告

昼休憩で同僚に「さっきの説明、聞き取りやすかった?」と確認し、返ってきた肯定的な言葉をそのまま自分の口で繰り返します。私は「ゆっくり話してたね」と言われたら「うん、ゆっくり言えた」と復唱。これ、鏡のように自己肯定感をチャージする感覚でクセになります。

夜:1日の終わりに「でき!」を3つメモ

帰宅後はノートやスマホに「今日のできた」を3つ箇条書き。例:

  • 患者さんの不安を遮らず最後まで聞けた
  • 受付で名前を間違えずに呼べた
  • 同僚のミスを責めずにフォローできた

たった3行でも、自分を責める材料よりも「できた」の方が先に目に入るので、寝る前の自己否定が薄れます。

会話に組み込む具体フレーズ

小さな「でき!」を伝えるとき、魔法の接頭語は「さっき」と「いま」。時間を限定するとリアリティが増し、相手の脳内で鮮明に再生されます。

自分に向けるセルフトーク

  • 「いまの返答、落ち着いていた」
  • 「さっきの待ち時間、笑顔でいられた」
  • 「いま、質問を飲み込まずに聞けた」

相手に届けるフィードバック

  • 「さっきの説明、わかりやすかった」
  • 「いまの頷き、安心した」
  • 「さっきの提案、筋が通ってた」

職場で実践するときは、評価ではなく事実描写を意識。薬剤師の新人に「薬袋を患者さんの目線で揃えていたね」と伝えたら、次の日から手元がさらに丁寧になり、本人も自信がついた様子でした。

「できた言葉」を集めるメモ術

スマホの定型文を作る

移動中に入力しておくと、思い出しやすくなります。私はメモアプリに「言えた」「待てた」「聞けた」「整えた」を辞書登録。空き時間に開いて眺めるだけで、翌日の会話にも自然と出てきます。

週末の「できた振り返り会」を開く

家族やパートナーがいるなら、金曜の夜に10分だけ「今週の小さなできた」を言い合うと楽しいです。私は友人とオンラインでやっていますが、お互いの視点で気づかなかった「できた」を見つけてもらえるので、新しいセルフトークが増えていきます。

言葉の在庫を補充する読書メモ

本やニュースで「健闘した」「踏ん張った」などポジティブな表現を見つけたらスクショして保存。私は薬学雑誌に載っていた「慎重に確認した」というフレーズを、服薬指導のフィードバックにそのまま流用しています。言葉の引き出しが多いほど、自己肯定感を支える柱が増えます。

挫折しそうなときのリカバリー策

私も三日坊主の常連です。続かない時期を乗り切るために試した方法を共有します。

言葉に「場所」を紐づける

調剤室の引き出しに「できた?」と書いた付箋を貼りました。目線が合うたびにセルフトークを思い出すので、習慣が切れにくい。デスクならPCモニターの縁に小さく貼るのがおすすめ。

失敗談も「でき」に変換

患者さんの名前を呼び間違えたとき、落ち込む前に「すぐ謝れた」「訂正を受け入れてもらえた」と口に出しました。行動の中に救いを見つけるだけで、自己否定の沼にハマらずに済みます。

仲間と交換する「でき!メモ」

同僚と1日1つの「でき!」を交換するチャットを作ると、ゲーム感覚で続きます。私は夜勤チームとやっていましたが、他人の小さな成功を読むと「自分も探そう」と視点が広がり、会話のネタにもなりました。

家でも使える「でき!」の見つけ方

家事のミニ成功を拾う

「今日は洗濯物をたためた」「冷蔵庫を拭けた」など、家の中の動作は宝庫。私は帰宅後、料理を温める間に「皿を出せた」「調味料を切らさなかった」とブツブツ言います。家族からは不思議がられますが、心のクッションになるのでおすすめです。

子どもへの声かけに応用

子どもに「ちゃんとしなさい」と言うより、「さっき宿題を開いたの、助かったよ」と事実を伝えると、自己肯定感が育ちます。薬局に来る親御さんにも試してもらったところ、「寝る前の不機嫌が減った」と喜ばれました。小さな「できた」を拾う姿勢は、家族の空気まで変えます。

一人時間のセルフケア

入浴中に「今日は湯船に浸かれた」と言葉にすると、自己ケアの達成感がじんわり湧きます。私は湯気で曇った鏡に指で「できた」と書くことも。バカバカしいくらいがちょうどいい。面倒でも一言付け足すだけで、明日の自分が少し優しくなれます。

患者対応で効果を感じた実例

ある70代の患者さんは、服薬管理に自信がなく落ち込んでいました。私は処方説明の最後に「毎回メモを取ってくださるのが助かっています」と伝え続けたところ、1か月後には「メモが役に立ってる」と笑顔に。小さな行動を言語化して伝えるだけで、自己肯定感が静かに回復していくのを目の当たりにしました。

別の日には、クレームを言いに来たお客様に対し「今日わざわざ時間を作ってくださったので、改善が早く進めそうです」と正直に伝えたら、怒りが和らぎ、建設的な意見交換に変わりました。相手の「でき」に光を当てると、対話の温度が一段下がります。

NGパターンと軌道修正のコツ

比較で褒めない

「昨日よりマシ」「他の人よりいいね」と伝えると、条件付きの評価になり、自己肯定感が揺れます。「今日できた」だけに焦点を当てましょう。

「でも」を多用しない

「できたけど、まだ足りないよね」と続けると、肯定の効果が半減します。私はどうしても言いたくなるとき、5秒飲み込んでから別の話題に切り替えます。沈黙が怖いときは「続きは今度聞かせてください」で締めるとスマートです。

フィードバックは一息おいてから

相手の「でき」を見つけたら即座に伝えたくなりますが、焦って被せると相手の言葉を遮るリスクがあります。私は相手が話し終え、呼吸が一回落ち着いたタイミングで「さっきの○○、助かりました」と挟むようにしています。

チームで導入するときの進め方

1. 週1回だけ「できた共有」を実施

会議の最後に1人1つ「今週の小さなできた」を挙げるだけ。最初は照れますが、3回目くらいで笑いが起き始め、チームの空気が柔らかくなります。薬局でも朝礼で導入しましたが、5分で終わるのにクレーム対応の質が上がりました。

2. 共有シートを作る

Googleスプレッドシートに「日付」「できた内容」「誰からの言葉か」を書くだけの欄を用意。誰かが落ち込んだとき、そのシートを見返すと「こんなに積み重ねがあったんだ」と実感できます。私は夜勤帯のメンバーと共有し、夜中の眠気覚ましにも使っています。

3. 評価と混ぜない

人事評価と結びつけると途端にギスギスします。「できた共有」はあくまで温度を整えるための場、と宣言しておくと続きやすい。私は「点数はつけない」「反論しない」をルールにしました。

Q&A:よくある疑問に答える

Q. 自己肯定感が低すぎて「できた」が見つかりません

A. 他人の口から出た肯定を復唱するところから始めましょう。「さっきありがとうと言われた」「質問してくれて助かったと言われた」など、相手の言葉を借りればOKです。私も最初は自分で見つけられず、同僚のフィードバックをそのまま呟いていました。

Q. 調子に乗って見えるのが不安です

A. 「できた」を主語ではなく行動主語で表現すると柔らかくなります。例:「私はできた」ではなく「説明を最後までできた」。行動にフォーカスすれば自慢感が薄れ、周囲も受け取りやすくなります。

Q. 失敗が続く日はどうする?

A. 「できた」を探しても見つからない日は、「できたへのプロセス」を拾います。「相談できた」「助けを求められた」「休憩を取れた」など、行動の手前を肯定するイメージです。私はクレームが重なった日、ただ「同僚と一緒に謝れた」と繰り返し、自分を支えました。

まとめ:小さな言葉で自分を育てる

自己肯定感は大きな成功よりも、日々の会話に紛れた「できた」が積み重なって育ちます。まずは1日3つ、朝昼夜のどこかで「さっき」「いま」の接頭語を使い、自分や相手の行動を短く言語化してみてください。面倒くさがりの私でも続いたので、きっとあなたも明日から試せます。言葉の温度を少し上げて、自分をじっくり育てていきましょう。

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この記事を書いた人

現役薬剤師として、人と向き合う仕事を続けてきました。
患者さんとの何気ない会話の中に、信頼や安心が生まれる瞬間がある――そんな「伝え方」の力に魅せられて、このブログをはじめました。

いまは医療の現場を離れ、**「伝える力」「聴く力」**をテーマに、日常や職場、家族の中で使えるコミュニケーションのヒントを発信しています。

心理学や会話術、言葉選びの工夫など、明日から使える内容を中心に。
読んだ人の人間関係が少しでもやわらかくなるような記事を目指しています。

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