毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。OTC相談では言葉ひとつで誤解が広がります。私も「強めの薬ですよ」と言って怖がらせ、購入をやめられた経験があります。この記事では、市販薬相談でよく口にしてしまう「勘違いワード」と、その場で使える言い換えをまとめます。忙しいときほど安全に、そして「聞いてよかった」と感じてもらえる対応を目指しましょう。
なぜ言い換えが必要なのか
勘違いワードは不安を増幅させる
「副作用はないです」「強い薬です」「すぐ効きます」…。善意で言っても、患者さんは「危険」「すぐやめた方がいい」と受け取ることがあります。薬局は短時間で決断を迫る場。言葉の選び方で、信頼か不信かが決まります。
法規制と生活感のギャップ
OTC販売では薬機法の説明義務がありますが、条文をそのまま伝えると生活者には硬く響きます。「添付文書に従ってください」だけでは「自分で読めってこと?」と受け取られがち。生活の言葉に翻訳する力が求められます。
よくある勘違いワードと言い換え例
h2 「強い薬」「弱い薬」
- NG: 「これは強い薬です」
- OK: 「しっかり効かせる成分量です。眠気が出やすいので運転前は避けましょう」
- ポイント: 効果の強弱ではなく、生活上の注意に置き換える。数値よりも行動への影響を伝えると納得感が生まれます。
h3 「副作用はありません」
- NG: 「副作用はありません」
- OK: 「眠気が出ることがあります。もし昼間に困ったら夕方にずらす方法もあります」
- ポイント: 0か100で言わず、起こりうることと対処法をセットで伝える。安心と自己管理のイメージを同時に提供できます。
h3 「すぐ効きます」
- NG: 「すぐ効きます」
- OK: 「30分ほどで楽になる方が多いです。水分をしっかり取ると作用が安定します」
- ポイント: 期待値を具体的な時間と行動で示す。個人差を前提にしておけばクレームも減ります。
h3 「どれでも同じです」
- NG: 「どれでも同じです」
- OK: 「症状が強いときはA、仕事で眠気を避けたいならBが合います」
- ポイント: 選択肢を提示し、生活シーンとの適合で比較する。価格だけで選ばせない工夫になります。
h3 「市販薬だから安全です」
- NG: 「市販薬だから安全です」
- OK: 「身近に買える薬ですが、持病や併用薬によっては合わないことがあります。今飲んでいる薬を教えてもらえますか?」
- ポイント: 安心感を与えつつ、情報提供を引き出す質問に変える。併用リスクを拾い漏らさないためのフレーズです。
現場での活用ステップ
1. 生活シーンを聞き出す
説明前に「いつ使いたいですか?仕事の前後?寝る前?」と生活シーンを確認。私はこれを省いて、眠気が出る薬を通勤前に勧めてしまい、苦情を受けたことがあります。聞き取りを入れるだけで言い換えの方向が定まります。
2. 根拠+行動で伝える
「眠気が出やすい成分です。運転前は避けて、夜に使うと安心です」と、根拠と行動をセットに。感覚的な「強い」「弱い」を排除できます。
3. 相談の窓口を残す
説明の締めに「使ってみて気になることがあればすぐ教えてください。飲み方を一緒に調整しましょう」と伝える。これで「買ったら終わり」ではなく、伴走する姿勢が伝わります。
事例:言い換えで変わった会話
ケース1: 花粉症薬でのすれ違い
以前、「この薬は強いので眠くなります」と言ったところ、患者さんが「仕事で使えない」と退店しました。言い換えて「集中したいときは眠気の少ないタイプもあります。今の予定に合わせて選びましょう」と提案したら、別の薬を購入し、次回も相談してくれました。
ケース2: 解熱鎮痛薬の再購入相談
「前のが効かなかった」と言われたとき、つい「どれでも同じです」と言いそうになりました。踏みとどまって「痛みの種類は?頭痛と筋肉痛は違う対策が必要です」と聞き返したところ、筋肉痛と判明。湿布とストレッチをセットで提案し、納得して帰られました。
言い換えを習慣化するコツ
メモに「OKフレーズ集」を作る
調剤室に小さなメモを貼り、「強い→生活上の注意」「副作用なし→起こりうること+対策」などを書いておくと、忙しい日でも言い換えがブレません。
朝礼で共有し、口に出して練習
チームで5分だけ「今日使う言い換え」を練習します。声に出すと舌が覚えます。私は新人のときこれをサボり、急に聞かれて詰まったことがあるので、今でも続けています。
まとめ
市販薬相談は短時間決戦。だからこそ言葉選びが結果を左右します。勘違いワードを避け、生活シーンを聞き出し、根拠+行動で伝えましょう。明日、最初の患者さんにどの言い換えから試しますか?

