患者が“話してよかった”と思える薬局の声かけ

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毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。調剤室から出るたびに、「今日も話してよかった」と思ってもらえるかを意識しています。正直、忙しい日ほど雑になりそうになるけれど、声かけひとつで空気は変わります。ここでは、薬局で患者さんにそう感じてもらうための具体的な声かけと流れを、現場の失敗談も交えながらまとめます。

目次

患者が話しづらくなる理由を押さえる

「急かされている」空気が最大の敵

窓口が混むと、つい「お待たせしました、こちらどうぞ」を早口で言ってしまいがち。私は新人の頃、それで顔をしかめられたことがあります。急かすつもりがなくても、声のトーンや速さが「早く終わらせたい」に聞こえるのです。まずは一呼吸置き、落ち着いた低めの声で「お待たせしました、今日はどんな具合ですか?」とゆっくり始めるだけで、患者さんの肩の力が抜けます。

「どうせ聞いてくれない」という諦め

リピーターでも、前回の不満が消えていないと本音は出ません。私は以前、薬の味が苦手だと訴えた方に「水を多めに」とだけ返してしまい、「話しても変わらない」と言われました。そこからは「前回のお薬、味は大丈夫でしたか?」と必ず振り返りを入れるようにしています。過去のやり取りを覚えている姿勢が、話したくなる土台になります。

心を開いてもらう導入フレーズ

入口で信頼をつくる5秒トーク

処方箋を受け取る瞬間こそ、安心のスイッチを押すタイミングです。おすすめは「今日はどこが一番つらいですか?」ではなく、「今日は何が一番気になっていますか?」という聞き方。症状だけでなく不安や生活面の心配を引き出せます。さらに「前と同じで大丈夫そうですか?」と続けると、自然に詳細が出てきます。

待ち時間の小さな声かけ

会計前に再び声をかけると、関係性が一段深まります。私は調剤中にカルテを確認しながら、「前回眠気が強いとおっしゃっていましたよね。今日は様子どうですか?」と短く尋ねます。忙しくても10秒かけるだけで、「覚えていてくれた」と感じてもらえ、後の説明がスムーズです。

安心を広げる説明の順番

h2 患者の悩み→原因→解決手順を意識

本題に入るときは、いきなり薬の成分説明ではなく、悩みの再確認から始めます。「〇〇がつらいと伺いました。原因としては〇〇が考えられます。だからこの薬は〇〇を抑える役割です」と、悩み→原因→解決手順の順で話すと理解が深まります。以前、逆順で話して混乱させてしまった反省から、この型を崩さないようにしています。

比喩と選択肢で納得感を上げる

医学用語は控え、比喩で置き換えます。例えば喘息吸入薬なら「細いストローが少し広がるイメージです」と説明。さらに「朝と夜、どちらなら続けやすそうですか?」と選択肢を提示すると、患者さん自身が生活に落とし込みやすくなり、「話してよかった」感につながります。

実際の対話例と失敗修正

例1: 味が苦手な小児薬

  • Ryo: 「お子さん、前回のお薬の味どうでした?」
  • 保護者: 「苦いと言って飲みたがりませんでした」
  • Ryo: 「そっか、それはつらいですね。今回は水に溶かすと味が和らぎます。飲む前後にゼリーを少し、試してみますか?」
    この一言を入れると、「具体的な工夫を教えてくれた」と信頼が戻り、次回も相談してもらえました。

例2: 高齢者の再発不安

  • Ryo: 「前回倒れられたあと、ご不安は残っていませんか?」
  • 患者: 「またいつ倒れるか心配で…」
  • Ryo: 「その不安が強いと血圧も上がりやすいです。計測のタイミングを一緒に決めましょう。朝食後と夕食後、どちらが楽ですか?」
    不安の言語化を促し、行動提案につなげると「話してよかった」と笑顔で帰られました。

失敗しない確認トークのポイント

ふりかえり質問をセットにする

説明の最後に「今の説明で足りないところ、ありますか?」だけだと「ないです」で終わりがち。私は「生活で困る場面を一緒に想像してみましょう。飲み忘れそうなタイミングはどこですか?」と踏み込みます。具体的な場面を言葉にしてもらうことで、真の疑問が出てきます。

感情への共感を優先する

副作用の話をするときは、まず「怖いですよね」と共感を置きます。そのあとで「でも対策があるので一緒に確認しましょう」と続ける。共感を省くと、「冷たい」と感じられ、後の説明が耳に入らなくなります。私自身、共感を飛ばした日は相談が減るので、効果を痛感しています。

まとめと明日からの一言

明日から使える声かけリスト

  • 受付時: 「今日は何が一番気になっていますか?」
  • 待ち時間: 「前回の〇〇、その後いかがですか?」
  • 説明前: 「〇〇がつらいと伺いました。原因は〇〇で、この薬は〇〇を助けます」
  • 説明後: 「生活で困りそうな場面、どこにありそうですか?」
  • 見送り: 「次回も様子を教えてください。〇〇が変わったらすぐ聞いてくださいね」

振り返りを習慣化する

閉店後、私は3人分だけでいいので「話してよかったと言われた瞬間」をメモしています。続けると、どの声かけが効いたか見えてきます。忙しい日こそ、1フレーズで安心を届ける意識が、患者さんにとっての「話してよかった」を生みます。明日、最初の患者さんにどの一言を渡しますか?

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この記事を書いた人

現役薬剤師として、人と向き合う仕事を続けてきました。
患者さんとの何気ない会話の中に、信頼や安心が生まれる瞬間がある――そんな「伝え方」の力に魅せられて、このブログをはじめました。

いまは医療の現場を離れ、**「伝える力」「聴く力」**をテーマに、日常や職場、家族の中で使えるコミュニケーションのヒントを発信しています。

心理学や会話術、言葉選びの工夫など、明日から使える内容を中心に。
読んだ人の人間関係が少しでもやわらかくなるような記事を目指しています。

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