毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。
「この人の話を聞いていると、なぜか安心する」「この人には何でも話せそう」
そんな風に感じたことはありませんか？実は、それって「バックトラッキング」という技術が使われている可能性が高いんです。
今日は、私が薬局で患者さんと接する中で身につけた、相手に安心感を与える「バックトラッキング」について詳しくお話しします。
バックトラッキングって何？
バックトラッキングとは、相手の話の内容を要約して返すことで、相手に「この人は私の話を理解してくれている」と感じさせる聞き方の技術のことです。
例えば、患者さんが「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」と長い話をしたとします。その時、私が「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね」と要約して返す。これが基本的なバックトラッキングです。
「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、実はこれが意外と難しいんです。多くの人は、相手の話を聞きながら、すぐに「それは大変ですね」とか「何か心当たりはありますか？」と、自分の言葉で返してしまいがち。
でも、相手の話を要約して返すことで、相手は「この人は私の話をちゃんと聞いてくれている」と感じるんです。
なぜバックトラッキングが効果的なのか？
1. 安心感を与える
人間って、自分の話を理解してくれている人に対して、無意識に安心感を覚える生き物なんです。
患者さんが長い話をした時に、私がその話を要約して返す。これだけで、患者さんは「この人は私の状況を理解してくれている」と感じるんです。
逆に、「それは大変ですね」と返すと、患者さんは「この人は私の話を聞いているようで、実は自分の価値観で判断している」と感じてしまうことがあります。
2. 会話の流れを整理する
バックトラッキングを使うと、会話の流れが自然に整理されます。
患者さん：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
私：「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね」
患者さん：「はい、それで病院に行ったんですが、薬を出されて…」
私：「病院に行って薬を出されたんですね」
こんな感じで、相手の話を要約して返すことで、会話が整理され、より深い話を引き出すことができるんです。
3. 信頼関係の土台を作る
薬局の仕事って、患者さんの健康に関わる大切な仕事です。だからこそ、信頼関係が何より重要なんです。
バックトラッキングを使うことで、「この人は私の話を真剣に聞いてくれている」という印象を与えられます。それが信頼関係の土台になるんです。
実際の現場での体験談
先日、60代の女性の患者さんが来店されました。お薬の相談で来られたんですが、最初はなかなか本音を話してくれませんでした。
患者さん：「この薬、飲んでも大丈夫でしょうか？」
私：「この薬を飲むのが心配なんですね」
患者さん：「はい、副作用が怖くて、前の病院で副作用が出てしまって、それ以来、薬を飲むのが怖くなってしまって…」
私：「副作用が怖くて、前の病院で副作用が出てしまって、薬を飲むのが怖くなってしまったんですね」
こんな感じでバックトラッキングを続けていると、だんだん患者さんが本音を話してくれるようになったんです。
患者さん：「実は、家族にも相談できないで、一人で悩んでいて、今日は勇気を出して来たんです」
私：「家族にも相談できなくて、一人で悩んでいて、今日は勇気を出して来られたんですね」
そして、最終的には「先生、今日は本当にありがとうございました。久しぶりに安心して薬を飲めそうです」と言って帰られました。
この時、私は特別なことをしたわけではありません。ただ、患者さんの話を要約して返し続けただけです。でも、それが患者さんの心を開かせ、信頼関係を築くことにつながったんです。
バックトラッキングの具体的なやり方
1. 基本的なバックトラッキング
相手の話を要約して返すのが基本です。
相手：「今日は仕事が忙しくて、家に帰るのも遅くなって、家族との時間も取れなくて、それでストレスが溜まってしまって…」
あなた：「仕事が忙しくて、家族との時間が取れなくて、ストレスが溜まってしまったんですね」
ポイントは、相手の話の要点を捉えて、分かりやすく要約することです。
2. 感情のバックトラッキング
相手の感情も一緒にバックトラッキングすると、より効果的です。
相手：「今日は仕事が忙しくて、家に帰るのも遅くなって、家族との時間も取れなくて、それでストレスが溜まってしまって…」（困った表情で）
あなた：「仕事が忙しくて、家族との時間が取れなくて、ストレスが溜まってしまったんですね。本当にお疲れ様でした」
このように、相手の感情も含めてバックトラッキングすることで、相手は「この人は私の気持ちも理解してくれている」と感じるんです。
3. キーワードのバックトラッキング
相手の話の中の重要なキーワードを拾って、バックトラッキングすることも効果的です。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
あなた：「頭痛、不眠、集中力の低下で困っているんですね」
このように、相手の話の中の重要なキーワードを拾って返すことで、相手は「この人は私の話のポイントを理解してくれている」と感じるんです。
よくある間違いと注意点
1. 要約しすぎないように
バックトラッキングは、相手の話を要約して返すことですが、要約しすぎてはいけません。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
あなた：「体調が悪いんですね」（←これは要約しすぎ）
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
あなた：「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね」（←これは適切なバックトラッキング）
相手の話の重要な部分は残しつつ、分かりやすく整理することが大切です。
2. 機械的にならないように
バックトラッキングは、相手との自然な会話の一部であるべきです。機械的に要約していると、相手に「この人はロボットみたい」と思われてしまいます。
相手の話を要約して返す際は、自然な形で、相手の気持ちも含めて返すことが重要です。
3. 相手のペースに合わせる
バックトラッキングは、相手のペースに合わせて行うことが大切です。
相手がゆっくり話しているのに、あなたが早口でバックトラッキングすると、相手は違和感を覚えてしまいます。
相手の話し方のテンポ、声のトーン、間の取り方なども意識して、自然な形でバックトラッキングすることが重要です。
バックトラッキングを練習する方法
1. 日常会話で練習
まずは、家族や友人との日常会話でバックトラッキングを練習してみてください。
相手：「今日のランチ、美味しかった。特にパスタが良かった」
あなた：「今日のランチ、特にパスタが良かったんですね」
こんな感じで、意識的にバックトラッキングをしてみるんです。最初は不自然に感じるかもしれませんが、慣れてくると自然にできるようになります。
2. 録音して確認
自分の会話を録音して、バックトラッキングが自然にできているか確認してみてください。
録音を聞いてみると、「ここでバックトラッキングができている」「ここは機械的になっている」など、客観的に判断できます。
3. フィードバックをもらう
信頼できる人に、「私の話し方、自然ですか？」と聞いてみるのも良い方法です。
相手の視点から見ると、自分では気づかない改善点が見つかることもあります。
バックトラッキングの応用編
1. ビジネスシーンでの活用
バックトラッキングは、ビジネスシーンでも大いに活用できます。
営業の場面で、お客様の要望をバックトラッキングすることで、より深いニーズを引き出すことができます。
お客様：「この商品、使いやすさが重要で、デザインも気に入っているんですが、価格が少し高いかなと思って…」
営業担当：「使いやすさとデザインは気に入られているけど、価格が気になっているんですね。具体的には、どのくらいの価格帯を想定されていますか？」
このように、お客様の要望をバックトラッキングした後に、深掘り質問をすることで、より詳細な情報を得ることができます。
2. カウンセリングでの活用
カウンセリングの場面でも、バックトラッキングは重要な技術です。
クライアント：「最近、人間関係で悩んでいて、特に職場でのコミュニケーションが上手くいかなくて、それでストレスが溜まってしまって…」
カウンセラー：「人間関係、特に職場でのコミュニケーションで悩んでいて、ストレスが溜まってしまったんですね」
このように、クライアントの話をバックトラッキングすることで、クライアントは安心感を覚え、より深い話をすることができるようになります。
3. 教育現場での活用
教育の場面でも、バックトラッキングは効果的です。
生徒：「この問題、分からないんですが、特にこの部分が理解できなくて、どうやって解けばいいか分からなくて…」
先生：「この問題が分からなくて、特にこの部分が理解できなくて、解き方が分からないんですね。どこが分からないか、もう少し詳しく教えてくれませんか？」
このように、生徒の話をバックトラッキングすることで、生徒は安心して質問することができ、より具体的な支援を受けることができます。
バックトラッキングの効果を実感するには
1. 継続が大切
バックトラッキングは、一度や二度使っただけでは大きな効果は期待できません。継続的に使うことで、徐々に効果が現れてきます。
私も最初は、バックトラッキングを使っても「これでいいのかな？」と不安でした。でも、継続的に使っているうちに、患者さんとの関係が変わってきたんです。
2. 相手の反応を観察
バックトラッキングを使った時、相手の反応をよく観察してください。
相手が「そうなんです」と頷いてくれる、話が続く、表情が柔らかくなるなど、ポジティブな反応が見られたら、バックトラッキングが効果的に働いている証拠です。
3. 自分自身の変化も感じる
バックトラッキングを使い続けていると、自分自身にも変化が現れてきます。
相手の話をより深く聞けるようになる、相手の気持ちを理解できるようになる、会話が楽しくなるなど、様々な変化を実感できるはずです。
バックトラッキングとミラーリングの違い
1. バックトラッキングとは
バックトラッキングは、相手の話の内容を要約して返すことです。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
あなた：「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね」
これにより、相手は「この人は私の話を理解してくれている」と感じるんです。
2. ミラーリングとは
ミラーリングは、相手の言葉や表現を、まるで鏡に映すように返すことです。
相手：「最近、頭が痛いんです」
あなた：「最近、頭が痛いんですね」
これにより、相手は「この人は私の話を聞いてくれている」と感じるんです。
3. 両方を組み合わせる
バックトラッキングとミラーリングを組み合わせることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
相手が短い話をした場合はミラーリング、長い話をした場合はバックトラッキング。これにより、相手は「この人は私の話を理解してくれている」と感じ、自然と心を開いてくれるようになります。
バックトラッキングの応用技術
1. 感情のバックトラッキング
相手の感情も一緒にバックトラッキングすることで、より深い共感が可能になります。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」（困った表情で）
あなた：「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね。本当にお疲れ様でした」
このように、相手の感情も含めてバックトラッキングすることで、相手は「この人は私の気持ちも理解してくれている」と感じるんです。
2. 要約のバックトラッキング
相手の話が非常に長い場合は、要約してバックトラッキングすることも効果的です。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、それで病院に行ったんですが、薬を出されて、でも副作用が怖くて、飲めなくて、それでまた頭が痛くなって…」
あなた：「頭痛、不眠、集中力の低下で病院に行って薬を出されたけど、副作用が怖くて飲めなくて、また頭痛が悪化しているんですね」
このように、相手の話の要点を整理して返すことで、相手は「この人は私の話を理解してくれている」と感じるんです。
3. 質問のバックトラッキング
相手の話をバックトラッキングした後に、自然な質問を付け加えることで、より深い会話を引き出すことができます。
相手：「最近、頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて、本当に困っているんです」
あなた：「頭が痛くて、夜も眠れなくて、仕事にも集中できなくて困っているんですね。何か心当たりはありますか？」
このように、バックトラッキングの後に質問を付け加えることで、相手はより詳しい話をしてくれるようになります。
まとめ
バックトラッキングは、相手の話を要約して返すことで、相手に安心感を与える聞き方の技術です。
相手の話を理解して返すことで、相手は安心感を覚え、信頼関係を築くことができます。
ただし、バックトラッキングは一朝一夕に身につくものではありません。継続的な練習と実践が必要です。
私も薬局で患者さんと接する中で、バックトラッキングの効果を実感してきました。最初は不自然でしたが、慣れてくると自然にできるようになり、患者さんとの関係が大きく変わりました。
あなたも、今日からバックトラッキングを意識してみてください。きっと、相手との関係が変わってくるはずです。
そして、もしバックトラッキングについてもっと詳しく知りたい、実践してみて困ったことがあるという方は、いつでも相談してください。一緒に、より良いコミュニケーションを目指していきましょう。
最後に、バックトラッキングの最大のポイントをお伝えします。
それは、「相手の話を大切にする」ということです。
相手が話してくれた内容には、その人なりの意味や感情が込められています。その話を大切に扱い、理解して返すことで、相手は「この人は私を理解してくれている」と感じるんです。
バックトラッキングは、相手への敬意と理解の表れでもあるんですよ。
今日も一日、素敵なコミュニケーションを！
