毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。慢性疾患の服薬フォローって、気合はあるのに毎回同じ声かけでマンネリになりがち。正直、忙しい日に丁寧に聞き出すのは面倒くさい…でも、ここを雑にすると数か月後にドロップアウトされてしまうのが現場のリアルです。
高血圧や糖尿病の患者さんは、症状が落ち着くと「まあいいか」で自己判断しがち。そんなときに薬剤師がどう声をかけ、どう継続支援を提案するかで、その後の通院・服薬の継続率が大きく変わります。ここでは私が現場で繰り返してきた失敗と成功を踏まえ、再現性のあるトークの流れをまとめました。
読者の悩み:継続支援の声かけが単調になる
患者が飽きてしまうパターン
慢性疾患の指導は似た情報を何度も伝えるため、患者さんに「毎回同じことを言われる」と飽きられがち。私も昔は「服薬続けてくださいね」で終わらせ、気づけば自己中断…という苦い経験が山ほどあります。
こちらも疲れて言葉が短くなる
忙しい日ほど声かけが機械的になり、患者さんからの変化サインを見逃してしまう。後からカルテを見ると、実は数値が悪化していたのに聞き出せていなかった、なんてことも。
原因:共感・更新・選択の3要素が抜けている
共感がないと「監視」だと受け取られる
「飲めていますか?」だけだとチェックされている感が強い。まずは「続けるのって正直大変ですよね」と共感の一言を入れると、警戒がゆるみます。
情報更新を怠ると提案が古くなる
前回の生活状況や数値を更新しないまま話すと、患者さんは「話を覚えてくれていない」と感じます。冒頭に「前回お伝えした散歩、続けられました?」と聞くだけで、会話の精度が上がります。
選択肢を提示しないと主体性が生まれない
「こうしてください」だけだと押し付けに。選択肢を2つ以上用意し、患者さん自身に選んでもらうと、行動が続きやすくなります。
解決手順:5ステップの継続支援トーク
1. 共感でスタートする
「毎日続けるのって、正直めんどうですよね。でも続けた分だけ体は素直に答えてくれますよ。」
最初にサボりたくなる気持ちを言語化し、こちらが味方であることを示します。昔、夜勤明けの方に「飲めてます?」とだけ聞いて嫌な顔をされた経験から、この共感の一言を欠かさなくなりました。
2. 前回の約束を1つだけ確認
「前回、塩分表示を見るとおっしゃってましたが、やってみてどうでした?」
約束を覚えているとわかれば、患者さんは「自分の話を聞いてくれている」と感じます。記録を見返すのが面倒でも、1つだけで十分。私もポケットメモにキーワードを書くだけで、信頼度が跳ね上がりました。
3. 最新数値と体感をペアで聞く
「今日は血圧130台でしたね。体のだるさは前より楽になりました?」
数値と体感をセットで聞くと、患者さんは効果を実感しやすい。逆に数値だけ伝えると「で、何が変わるの?」となりがちです。
4. 選べる継続策を2案提示
「A:夕食後に飲むパターンを続ける」「B:起床後に変えてみる」のように2案提示。患者さんが自分で選ぶと、行動のハードルが下がります。私は夜勤の看護師さんに朝服用へ切り替える提案をしてから、飲み忘れが激減しました。
5. 次回までの小さな宿題を決める
「次回までに1回、血圧計の写真を撮って見せてください」
「帰り道で無塩ナッツを1袋買ってみませんか?」
宿題は小さく、1つだけ。成功体験を積ませるのがコツです。大きな目標を押し付けていた頃は、逆に来局が減りました。
実践例:高血圧・糖尿病での具体トーク
高血圧のフォロー例
- 共感: 「寒いと血圧上がりやすいので、朝は測りたくなくなりますよね」
- 更新: 「前回は味噌汁の回数を減らしたと伺いましたが、続けられました?」
- 選択: 「塩分ゼロのだしパックにする」「汁物の器を小さくする」のどちらが楽そうですか?
- 宿題: 「1週間に1回でいいので、測定結果をスマホで撮って次回見せてください」
糖尿病のフォロー例
- 共感: 「甘いものの誘惑、仕事帰りは特に強いですよね」
- 更新: 「前回おすすめしたコンビニの高たんぱくヨーグルト、試せました?」
- 選択: 「夕食前に1回だけ間食を置き換える」「歩数を1日500歩だけ増やす」どちらがやれそうですか?
- 宿題: 「血糖自己測定を週末1回だけ、メモでOK。次回一緒に振り返りましょう」
注意点:やってしまいがちなNGトーク
「頑張りましょう」で終わる
励ますつもりでも、具体策がないとプレッシャーだけ残ります。私も「頑張って」と言い続けて、次回来局がなくなった苦い経験があります。
数値だけを叱責する
「この血圧じゃ危ないですよ」だけでは行動が変わらない。代わりに「下がったときの体の軽さ」をイメージさせる言葉に置き換えましょう。
同意を取らずに変更を押し付ける
薬の飲み方を変えるときは、必ず「やれそうかどうか」を聞く。以前、夜勤明けの患者さんに夜服用を指示し続け、結局飲み忘れが増えたことがありました。
まとめ:小さな成功を積ませる会話を
共感→更新→選択→宿題の流れを守るだけで、患者さんの表情が変わります。面倒な日もありますが、たった1分の対話で数か月後の健康状態が決まると思えば踏ん張れるはず。今日から、次回に見せてもらう「小さな宿題」を必ずセットで伝えてみてください。継続支援トークは、積み重ねるほど楽になります。
フォロー体制を仕組み化する
メモとテンプレートでブレを減らす
私はカルテの備考に「共感ワード・前回の宿題・次の宿題」の3項目だけを残しています。テンプレート化することで、忙しい日も同じ質をキープできます。スタッフ間で共有すれば、担当が変わっても会話が途切れません。
電話やLINE連携の一言メモ
患者さんが来局できないとき、電話やLINEでのフォローも同じ流れを使います。「前回の宿題どうでした?」「次回はここを一緒に確認させてくださいね」この2行を送るだけで、来局時の会話がスムーズになります。
忙しい日のショートカット例
30秒バージョン
- 共感: 「仕事終わりでお疲れですよね」
- 更新: 「歩数計アプリ、週1回見返せました?」
- 選択: 「夕食後に続ける」or「朝に変える」どちらが楽そう?
- 宿題: 「次回までに1回、測定結果を写真で見せてください」
1分バージョン
- 30秒バージョンに「今日の数値と体感をセットで尋ねる」を追加するだけ。短くても、4ステップを崩さないことがポイントです。
体験談:失敗から学んだこと
「質問攻め」で離脱させたケース
新人の頃、血圧や食事内容を一気に聞きすぎて「今日は時間ないので」と切り上げられたことがあります。質問を減らし、共感→更新→選択の順番に変えたら、同じ患者さんが毎月通ってくれるようになりました。
「大きすぎる宿題」で挫折したケース
「毎日ウォーキング30分」と大きな宿題を出し、次回「できませんでした」と肩を落とされた経験があります。今は「まずは週1回、職場の階段を使う」など超小分けにしています。達成率が上がると会話も前向きになり、こちらも楽になります。
具体フレーズ集:場面別に使い回す
生活習慣を変えたくないとき
「変えるのが面倒なら、今の生活のままでできる工夫を一緒に探しましょう。例えば飲む時間だけ朝に変える、とか。」
数値が改善しないと嘆くとき
「数値が横ばいでも、悪化を食い止めているのは継続できている証拠ですよ。次は1ミリだけ負担を減らす方法を考えましょう。」
飲み忘れを正直に話してくれたとき
「正直に教えてくれて助かります。じゃあ、1日おきにアラームを鳴らす設定からやってみませんか?」
まとめの再確認
共感・更新・選択・宿題の4ステップは、どんな慢性疾患でも使える万能フレームです。最初は型にはめたように感じても、繰り返すうちに自分の言葉になります。私も最初は台本を見ながら話していましたが、今では自然に口から出てきます。面倒な日こそ型に頼り、小さな成功を積み重ねていきましょう。
チーム連携で継続率を底上げ
事務・看護師との役割分担
薬剤師だけで抱え込むと疲れます。事務スタッフには「宿題を聞く」「数値をメモする」をお願いし、看護師さんには生活面の変化を共有してもらう。私は週1回の朝礼で「今週の継続支援ワード」を共有し、全員が同じトーンで声をかけられるようにしています。
医師への逆フィードバック
診察室では話しにくかった本音を、薬局で拾うことがあります。その内容を医師に短く伝えると、治療方針が患者に合ったものになりやすい。「夜勤が増えた」「家族が減塩に協力的」など、生活背景の情報は医師も喜びます。
行動が続くサポートツール
アラーム・日めくり・家族連携
飲み忘れ防止には、スマホアラームだけでなく、日めくりカレンダーに印を付けるアナログも有効。高齢の方には家族に1言メモを渡し、「飲んだら丸をつけてもらう」協力をお願いしています。
伝え方カードを作る
患者さんごとに刺さったフレーズをカード化し、次回のスタッフが使えるようにしています。例えば「体が軽くなるイメージが好き」「具体的な数字よりも気持ちを伝えると動く」など。これだけで会話の立ち上がりが早くなります。
数値が悪化したときの立て直しトーク
責めずに原因を一緒に探す
「数値が上がりましたね…何が原因でしょうか?」では問い詰めに聞こえます。私は「ここ1か月、生活のリズムに変化ありました?」と聞き、患者さんに自己洞察してもらいます。原因がわかったら「じゃあ、その変化に合わせて無理のない案を2つ作りましょう」と一緒に設計します。
リセットプランを3週間で区切る
慢性疾患は長期戦。だからこそ「次の3週間だけ試すリセットプラン」と期間を短く設定します。血圧なら「夕食の汁物を3週間だけ週2回にする」。成功すれば自信になり、次の提案が通りやすくなります。
患者本人の言葉を引き出す質問リスト
- 「数値が良いときは、何が違いますか?」
- 「飲み続けてよかったことを1つだけ教えてください」
- 「次の受診までに、どこまでなら頑張れそうですか?」
- 「もし家族が同じ薬を飲むなら、どんな声をかけますか?」
これらの質問で患者さん自身の言葉を引き出すと、こちらが指示するよりも長続きします。実際、上記の質問を使い始めてから「自分で決めたから続けられた」と言われることが増えました。
最後のひと押しフレーズ
「今日の決めごとをメモにして、お薬と一緒に入れておきますね」
紙1枚でも、家で見返せる材料があると行動が安定します。私は小さな付箋に宿題を書き、薬袋に貼ってお渡ししています。

