**毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。**薬局で働き始めた頃は、患者さんとの会話で「そうですね」「はい」しか言えず、深い話ができませんでした。しかし、意識的にフォローアップクエスチョンの練習を重ねることで、今では短時間で信頼関係を築けるようになりました。
今回は、フォローアップクエスチョンを上達させるための具体的なトレーニング方法をお伝えします。
フォローアップクエスチョンが上達しない理由
1. 自分の話をしたがる癖
多くの人は相手の話を聞くよりも、自分の話をしたがります。これがフォローアップクエスチョンの最大の障害です。
2. 質問が思い浮かばない
相手の話を聞いても、「何を聞けばいいかわからない」という状態になりがちです。
3. 表面的な聞き方しかできない
「そうですね」「大変ですね」といった相槌だけで終わってしまい、深掘りができません。
4. 練習する機会がない
日常生活で意識的に練習する機会を作らないと、スキルは向上しません。
段階別トレーニング方法
初級編:基本的な聞く姿勢を身につける
1. 相槌の改善から始める
Before: 「そうですね」「はい」
After: 「なるほど、それは○○ということですね」「○○が大変だったんですね」
2. 5W1Hを意識する
相手の話に対して、以下のどれかを聞く習慣をつけます:
- When(いつ):「それはいつ頃のことですか?」
- Where(どこで):「どちらでそれを?」
- Who(誰が):「どなたと一緒に?」
- What(何を):「具体的にはどんな?」
- Why(なぜ):「どんなきっかけで?」
- How(どのように):「どんな風に?」
3. 日常会話での1日1回チャレンジ
毎日最低1回は、家族や友人との会話で意識的にフォローアップクエスチョンを使います。
中級編:質問の質を向上させる
1. 感情にフォーカスした質問
相手の感情や気持ちに注目して質問します。
例:
- 「それを聞いて、どんな気持ちになりましたか?」
- 「その時、どう感じられたんですか?」
- 「嬉しかったでしょうね」
2. 過去・現在・未来の時間軸で質問
一つの話題を時間軸で深掘りします。
例:旅行の話題
- 過去: 「旅行に行こうと思ったきっかけは?」
- 現在: 「今回の旅行で一番印象に残ったのは?」
- 未来: 「また行きたいと思いますか?」
3. テレビ・ドラマを使った練習
テレビを見ながら、登場人物の発言に対してフォローアップクエスチョンを考える練習をします。
上級編:自然で深い質問ができるようになる
1. 相手の価値観を探る質問
表面的な情報ではなく、相手の考え方や価値観を理解するための質問をします。
例:
- 「それを大切にしている理由は何ですか?」
- 「どんなところに魅力を感じるんですか?」
- 「あなたにとって、それはどんな意味がありますか?」
2. 仮定の質問
「もし…だったら」という仮定の質問で、相手の深い考えを引き出します。
例:
- 「もし時間が無制限にあったら、何をしたいですか?」
- 「もしまた同じ状況になったら、どうしますか?」
職場でできる実践的トレーニング
1. 患者さん・お客様との会話で練習
薬局での実例:
患者さん: 「風邪を引いてしまいました」
レベル1: 「そうですか」
レベル2: 「いつ頃からですか?」
レベル3: 「症状はどんな感じですか?日常生活で困っていることはありますか?」
2. 同僚との会話で練習
同僚: 「昨日映画を見ました」
練習例:
- 「どんな映画だったんですか?」
- 「面白かったですか?」
- 「どんなところが良かったんですか?」
- 「普段はどんなジャンルがお好きなんですか?」
3. 会議での練習
相手の発言に対して、以下のようなフォローアップを意識します:
- 「具体的には…」
- 「例えば…」
- 「それはつまり…」
- 「詳しく教えていただけますか」
家庭でできる日常練習法
1. 家族との食事中の練習
子ども: 「学校で楽しいことがあった」
練習例:
- 「どんな楽しいことだったの?」
- 「誰と一緒だったの?」
- 「どんな気持ちになった?」
- 「明日も楽しみ?」
2. パートナーとの会話練習
お互いに「今日あった話」を詳しく聞く時間を作り、フォローアップクエスチョンの練習をします。
3. 電話での練習
電話では表情が見えないため、声だけで相手の状況を理解する必要があり、質問スキルが向上します。
効果的な練習のためのポイント
1. 録音・録画して振り返る
可能であれば、自分の会話を録音して後で振り返ります。どんな質問をしたか、相手の反応はどうだったかを客観的に分析します。
2. フィードバックをもらう
信頼できる人に、自分の質問の仕方について率直な意見をもらいます。
3. 質問ノートを作る
効果的だった質問や、使ってみたい質問をノートに記録します。
4. 毎日の振り返り
1日の終わりに、「今日はどんなフォローアップクエスチョンを使ったか」「どんな反応があったか」を振り返ります。
よくある練習の間違い
1. 質問の連発
一つの質問に対する答えをしっかり聞かずに、次々と質問してしまう。
改善方法: 一つの質問をして、相手の答えを最後まで聞いてから次の質問をする。
2. 自分の興味だけで質問
相手が興味のない話題を無理に続ける。
改善方法: 相手の反応を見ながら、興味を示している話題を深掘りする。
3. プライベートに踏み込みすぎ
練習に夢中になって、聞いてはいけないことまで聞いてしまう。
改善方法: 相手の表情や声のトーンを注意深く観察し、嫌がっているサインを見逃さない。
上達を実感できる目安
1ヶ月後
- 基本的な5W1Hの質問が自然にできるようになる
- 相手が話しやすそうな表情をするようになる
3ヶ月後
- 相手の感情や価値観について質問できるようになる
- 会話が以前より続くようになる
6ヶ月後
- 相手から「話しやすい人だね」と言われることが増える
- 仕事や人間関係でのコミュニケーションが改善される
まとめ
フォローアップクエスチョンのスキルは、一朝一夕では身につきません。薬局での経験から言えるのは、日々の小さな積み重ねが大きな変化を生むということです。
大切なのは完璧を目指すことではなく、「相手のことをもっと知りたい」という気持ちを持ち続けることです。技術よりも心構えが重要で、その気持ちがあれば自然と適切な質問が生まれてきます。
今日から、身近な人との会話で意識的にフォローアップクエスチョンを使ってみてください。きっと、会話の質と人間関係が大きく変わることを実感できるはずです。