毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。 薬局で働いていると、本当にいろんな場面で「この人にはどう話しかければいいんだろう?」って悩むんですよね。
厳しそうなおじいちゃんには敬語でかしこまって話すけど、小さい子どもには優しく話しかける。不安そうな患者さんには安心させる声かけをするし、冷静な人には事実を淡々と伝える。実は無意識にやっていることですが、これがエリック・バーンの「親・大人・子ども」理論(PAC理論)なんです。
この理論を意識的に使えるようになってから、僕の接客はマジで変わりました。どんな相手でも適切なコミュニケーションが取れるようになったんです。今日は薬局での実体験を交えながら、この理論を分かりやすく解説しますね!
エリック・バーンの「親・大人・子ども」理論とは?
エリック・バーン(Eric Berne)は交流分析の創始者で、人の心の中には3つの自我状態があると提唱しました。これがPAC理論です。
- Parent(親)
- Adult(大人)
- Child(子ども)
重要なのは、これは年齢のことじゃないってこと。50歳の人でも「子ども」の状態になることもあるし、10歳の子でも「親」のような態度を取ることがあるんです。
3つの自我状態を詳しく解説
Parent(親)の自我状態
これは文字通り「親のような」態度や行動のこと。さらに2つに分かれます。
1. Critical Parent(批判的な親・CP)
特徴
- 「〜すべきだ」「〜してはいけない」
- ルールや常識を重視
- 厳格で規律を求める
- 批判的・指導的
薬局でよくある場面
僕:「お薬は必ず食後30分以内に服用してください。飲み忘れは治療効果に影響します」
これは薬剤師として必要な指導ですが、CP状態での発言ですね。
2. Nurturing Parent(養育的な親・NP)
特徴
- 優しく保護する
- 面倒を見る
- 思いやりがある
- 相手を気遣う
薬局でよくある場面
僕:「体調はいかがですか?無理をしないでくださいね。何か気になることがあったら、いつでも相談してください」
Adult(大人)の自我状態
特徴
- 冷静で客観的
- 事実に基づいて判断
- 論理的思考
- 現実的な対応
薬局でよくある場面
僕:「この薬の副作用として、約30%の方に軽い胃の不快感が現れる可能性があります。症状が続く場合は医師にご相談ください」
データや事実を基に説明するのが Adult の特徴です。
Child(子ども)の自我状態
これも2つに分かれます。
1. Free Child(自由な子ども・FC)
特徴
- 自然で素直
- 感情豊か
- 創造的
- 楽しい・明るい
薬局でよくある場面
僕:「この薬、実は僕も風邪の時に飲んだことあるんです!結構効きましたよ〜」
2. Adapted Child(従順な子ども・AC)
特徴
- 周りに合わせる
- 遠慮がち
- 規則に従う
- 「すみません」をよく言う
薬局でよくある場面
僕:「お忙しい中、お待たせしてしまい申し訳ございません…」
薬局現場での実践例:相手に合わせた自我状態の使い分け
ケース1:厳格なおじいちゃんとの会話
80代の男性患者さんKさん。元教師で、いつもきちんとした服装で来局される方でした。
うまくいかなかった例(FC状態で接した場合)
僕:「Kさん〜、今日も元気ですね!薬できましたよ〜」(FC)
Kさん:「もう少ししっかりした対応をしてもらいたいものですね」(CP)
これは相手のCP(批判的な親)状態に対して、僕がFC(自由な子ども)状態で接したから噛み合わなかったんです。
改善後(Adult状態で対応)
僕:「Kさん、お疲れさまです。本日のお薬をご用意いたしました。変更点についてご説明させていただきます」(Adult)
Kさん:「ありがとう。しっかり説明してもらえると助かります」(Adult)
相手が厳格な態度(CP)で来た時は、こちらも Adult で冷静かつ丁寧に対応することで、相手も Adult 状態になってくれました。
ケース2:不安そうな患者さんへの対応
60代女性のTさん。新しい薬が処方されて、とても心配そうにされていました。
Patient側の状態
Tさん:「この薬、大丈夫でしょうか…副作用が怖くて…」(AC:従順な子ども)
効果的な対応(NP状態)
僕:「大丈夫ですよ、Tさん。不安になるお気持ち、よく分かります。この薬について詳しくご説明しますから、安心してくださいね」(NP)
相手が不安で子ども状態(AC)になっている時は、養育的な親(NP)で包み込むように対応することが効果的です。
ケース3:知識豊富な患者さんとの対話
40代の医療従事者の女性Sさん。薬について詳しい知識をお持ちでした。
効果的な対応(Adult同士)
Sさん:「この薬の半減期はどのくらいですか?」(Adult)
僕:「約8時間です。1日2回の服用で血中濃度を安定させることができます」(Adult)
Sさん:「なるほど、ありがとうございます」(Adult)
お互いが Adult 状態で専門的な情報を交換し合う。これが理想的な関係性ですね。
ケース4:子どもの患者さんとの接し方
8歳の男の子Hくんとお母さんが来局。子どもは薬を飲むのを嫌がっていました。
子どもへの対応(FC状態)
僕:「Hくん、こんにちは!この薬はイチゴの味がするんだよ〜。どう?飲んでみる?」(FC)
Hくん:「イチゴ味なの?飲んでみる!」(FC)
お母さんへの対応(Adult状態)
僕:「お母様、服用方法について説明いたします。1日3回、食後に服用してください」(Adult)
同じ場面でも、相手によって使い分けることが大切です。
自我状態の見極め方
言葉遣いでの判別
Parent(親)状態の特徴的な言葉
- CP:「〜すべき」「〜ねばならない」「当然だ」
- NP:「大丈夫?」「心配ですね」「お疲れさま」
Adult(大人)状態の特徴的な言葉
- 「〜だと思います」「データによると」「確認します」
Child(子ども)状態の特徴的な言葉
- FC:「楽しい!」「やった〜!」「面白いね」
- AC:「すみません」「どうしよう」「できません」
表情・態度での判別
Parent状態
- CP:眉間にしわ、腕組み、上から目線
- NP:優しい表情、相手を気遣う仕草
Adult状態
- 冷静な表情、落ち着いた姿勢、集中している
Child状態
- FC:明るい表情、身振り手振りが大きい
- AC:縮こまった姿勢、小さな声
接客での実践テクニック
1. 相手の自我状態を観察する
まずは患者さんがどの自我状態にいるかを素早く判断します。
観察ポイント
- 第一声の言葉遣い
- 表情や態度
- 質問の仕方
- 声のトーン
2. 適切な自我状態で応答する
基本的な組み合わせパターンがあります。
効果的な組み合わせ
- 相手がCP → AdultまたはACで対応
- 相手がNP → ChildまたはAdultで対応
- 相手がAdult → Adultで対応
- 相手がFC → FCまたはNPで対応
- 相手がAC → NPで対応
3. 最終的にはAdult同士の関係を目指す
どの組み合わせから始まっても、最終的には Adult 同士の建設的な関係に持っていくことが理想です。
実際の接客シーンでの使い分け
服薬指導での活用
初回の患者さん
- まず相手の自我状態を観察
- 不安そう(AC)なら NP で安心感を
- 知識欲旺盛(Adult)なら Adult で詳しく説明
- 警戒心強い(CP)なら Adult で事実を淡々と
リピートの患者さん
関係性ができているので、その人に合った自我状態で自然に対応
トラブル対応での活用
クレームを言う患者さんは、たいていCP(批判的な親)状態です。
対応手順
- Adult で冷静に事実確認
- 必要に応じて AC で謝罪
- 問題解決は Adult 同士で
- 最後は NP でフォロー
実例
患者さん:「薬の説明が不十分だ!」(CP)
僕:「申し訳ございませんでした。どちらの点について詳しく知りたいでしょうか?」(AC + Adult)
→ 段階的に Adult 同士の対話に移行
忙しい時間帯での効率的対応
忙しい時は基本的に Adult 状態で効率的に。ただし、相手が Child 状態の時は適度に NP も使う。
効率重視の Adult 対応
「お薬の準備ができました。変更点はこちらです。ご質問はございますか?」
配慮が必要な時の NP 対応
「お待たせしてしまい申し訳ありません。体調はいかがですか?」
自分の自我状態をコントロールするコツ
1. 自分の感情状態を把握する
疲れている時や忙しい時は、つい AC(従順な子ども)や CP(批判的な親)状態になりがち。まず自分の状態を客観視することが大切です。
2. 意識的に Adult 状態に戻る
感情的になりそうな時は、一呼吸置いて Adult 状態に戻る。「今、事実は何か?」を考える。
3. 相手に合わせて調整する
相手の自我状態を見極めて、適切な状態で対応する。無理に演技する必要はなく、自然に調整する程度で大丈夫。
よくある失敗パターンと改善方法
失敗パターン1:いつもAC(従順な子ども)
症状
- いつも「すみません」から始まる
- 患者さんに遠慮しすぎる
- 必要な指導ができない
改善方法
薬剤師としてのプロ意識を持って Adult 状態に。患者さんの健康のためには、はっきりと伝えることも必要。
失敗パターン2:CP(批判的な親)が強すぎる
症状
- 上から目線になる
- 「〜すべき」を多用
- 患者さんを責めがち
改善方法
相手の立場に立って考える。NP(養育的な親)や Adult の視点を意識する。
失敗パターン3:FC(自由な子ども)が不適切
症状
- 場面に合わない馴れ馴れしさ
- プロフェッショナルさに欠ける
改善方法
TPOを意識して、Adult と FC を使い分ける。
まとめ:PAC理論で接客力アップ
エリック・バーンの「親・大人・子ども」理論を意識してから、僕の接客は確実にレベルアップしました。どんな患者さんが来ても、その人に合った対応ができるようになったんです。
今日から実践できるポイント
-
相手の自我状態を観察
- 言葉遣い、表情、態度をチェック
-
自分の自我状態を選択
- 相手に合わせて適切に調整
-
Adult同士の関係を目指す
- 最終的には建設的な対話に
-
自分の状態も客観視
- 感情的にならず、冷静に対応
PAC理論は難しい心理学じゃなくて、日常的に誰でも使っている自然なコミュニケーション方法。それを意識的に活用するだけで、接客の質は格段にアップします。
薬局での1万人との会話経験から言えるのは、人は誰でも3つの自我状態を持っていて、場面に応じて使い分けているということ。相手の状態を理解して、適切に対応することで、どんな人とも良い関係が築けるんです。
明日からの接客で、ぜひPAC理論を意識してみてください。きっと今まで以上に充実したコミュニケーションが取れるようになりますよ!