毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。薬局で患者さんが感情的になってしまうこと、ありますよね。
薬の副作用で不安になったり、待ち時間が長くてイライラしたり、薬代が高くて驚いたり…。そんな時、どう対応すればいいか迷いませんか?
間違った順序で話すと、さらに感情を逆撫でしちゃうことも。でも正しい順序で会話すれば、感情的な患者さんも必ず落ち着いてくれます。
今日は年間1万人との接客で身につけた、感情が高ぶった相手を落ち着かせる会話の順序をお話しします。
なぜ感情的になるのか?
患者さんが感情的になる理由を理解することが第一歩です。
よくある理由:
- 不安:薬の副作用、病気の進行への心配
- 怒り:待ち時間、説明不足、期待との違い
- 悲しみ:病気の診断、治療の長期化
- 混乱:情報過多、理解できない説明
- 絶望感:治療効果への疑問、経済的負担
こうした感情は、患者さんにとって自然な反応です。私たちの役割は、その感情を否定するのではなく、受け止めて適切に対応することです。
感情を落ち着かせる7段階の順序
第1段階:「受け止める」
まずは相手の感情を完全に受け止めます。
やること:
- 最後まで話を聞く
- 遮らない、反論しない
- うなずきながら聞く
- アイコンタクトを維持
言葉の例:
- 「はい」「そうですね」「なるほど」
- 「お聞かせください」
- 「よくわかります」
60代の女性患者さんが薬の副作用で不安になって、声を荒げて話していた時も、まずは最後まで聞きました。「先生の説明がよくわからなくて、この薬で本当に大丈夫なのか心配で…」って、その気持ちを全部聞かせてもらいました。
第2段階:「共感する」
相手の感情に共感していることを言葉で表現します。
共感の表現:
- 「そのようなお気持ちになられるのは当然です」
- 「ご心配になるお気持ち、よくわかります」
- 「不安に思われるのも無理はありません」
- 「お辛い思いをされているんですね」
注意点:
- 「わかります」だけでは浅い
- 具体的にどの部分に共感したかを伝える
- 相手の立場に立った表現を使う
第3段階:「要約して確認する」
相手が伝えたかったことを要約して、理解していることを示します。
要約の例:
「○○さんがおっしゃりたいのは、お薬の副作用についてご心配で、特に日常生活への影響を気にされているということですね」
効果:
- 相手は「理解してもらえた」と感じる
- 論点が整理される
- 感情が落ち着く準備ができる
第4段階:「謝罪・感謝を表す」
適切な謝罪や感謝の気持ちを伝えます。
謝罪の例:
- 「ご心配をおかけして申し訳ございません」
- 「不安な思いをさせてしまい、申し訳ありません」
- 「お待たせして申し訳ございませんでした」
感謝の例:
- 「貴重なお気持ちをお聞かせいただき、ありがとうございます」
- 「正直にお話しいただき、ありがとうございます」
第5段階:「具体的な解決策を提示する」
感情が落ち着いてきたら、具体的な解決策を提示します。
解決策の提示例:
- 「この点について、詳しくご説明させていただきます」
- 「医師に確認して、正確な情報をお伝えします」
- 「同じような方への対応事例をご紹介します」
- 「今後の対策を一緒に考えましょう」
ポイント:
- 一度に複数の解決策を提示しない
- 相手が理解しやすい順序で説明
- 実現可能な内容に限定
第6段階:「継続的なサポートを約束する」
一回の対応で終わりではなく、継続的にサポートすることを伝えます。
サポートの約束例:
- 「何かご不明な点があれば、いつでもご相談ください」
- 「次回いらした時に、調子をお聞かせください」
- 「私たちがしっかりサポートしますので、安心してください」
第7段階:「前向きな締めくくり」
希望を持てるような、前向きな言葉で会話を締めくくります。
前向きな締めくくり例:
- 「きっと良くなりますよ」
- 「一緒に頑張っていきましょう」
- 「○○さんなら大丈夫だと思います」
実際の対応事例
事例1:薬の副作用を心配する70代女性
状況: 新しい血圧薬で副作用が心配
第1段階(受け止める):
患者さん:「この薬、副作用がひどいって聞いたんです。飲むのが怖くて…」
私:「そうですね、ご心配ですよね。どのような副作用を聞かれたんですか?」
第2段階(共感する):
「新しいお薬を始める時に、副作用を心配されるのは当然のことです。私も同じ立場だったら、同じように不安に思うと思います」
第3段階(要約確認):
「○○さんは、新しい血圧のお薬の副作用、特に日常生活に支障が出ないかを心配されているということですね」
第4段階(謝罪・感謝):
「不安なお気持ちにさせてしまい、申し訳ございません。正直にお話しいただき、ありがとうございます」
第5段階(解決策提示):
「この薬の副作用について、詳しくご説明させていただきます。また、万が一副作用が出た場合の対処法もお伝えします」
第6段階(継続サポート):
「何か気になることがあれば、いつでもお電話ください。私たちがしっかりサポートします」
第7段階(前向き締めくくり):
「多くの方が安全に使っているお薬です。○○さんも大丈夫だと思います。一緒に様子を見ていきましょう」
事例2:待ち時間にイライラしている40代男性
状況: 30分待たされてイライラしている
第1-3段階:
患者さん:「30分も待ってるんですけど!仕事もあるし、いつまで待てばいいんですか!」
私:「お忙しい中、長時間お待たせして申し訳ございません。お仕事もおありで、お時間を気にされているんですね」
第4-7段階:
「貴重なお時間をいただいているのに、お待たせして申し訳ございませんでした。すぐにご用意させていただきます。今後はお待ち時間の目安をお伝えするようにいたします」
タイプ別対応のコツ
怒りが強い人
特徴: 声が大きい、早口、責めるような口調
対応のコツ:
- 声のトーンを落とす
- ゆっくり話す
- 反論せずに一度受け止める
- 具体的な改善策を示す
不安が強い人
特徴: 小声、涙ぐむ、同じことを繰り返し聞く
対応のコツ:
- 安心感を与える言葉を多用
- 具体的な情報を提供
- 時間をかけて説明
- 継続的なサポートを強調
混乱している人
特徴: 話がまとまらない、質問が多い
対応のコツ:
- 話を整理してあげる
- 一つずつ丁寧に説明
- 重要なポイントを繰り返す
- 理解度を確認しながら進める
やってはいけないNG対応
NG1:感情を否定する
ダメな例:
- 「そんなに心配する必要はありません」
- 「大げさすぎます」
- 「みんな我慢してます」
NG2:すぐに解決策を提示する
感情が高ぶっている時は、解決策を聞く準備ができていません。
NG3:相手の話を遮る
感情を吐き出している最中に遮ると、さらに感情が高ぶります。
NG4:論理で説得しようとする
感情的な時は、論理的な説明は響きません。
まとめ:順序を守れば必ず落ち着く
感情が高ぶった患者さんへの対応は、正しい順序で行えば必ずうまくいきます。
7段階の順序:
- 受け止める
- 共感する
- 要約して確認する
- 謝罪・感謝を表す
- 具体的な解決策を提示する
- 継続的なサポートを約束する
- 前向きな締めくくり
この順序を飛ばしたり、逆にしたりすると、かえって感情を逆撫でしてしまいます。
私も最初は焦って、すぐに解決策を提示しようとして失敗することがありました。でも順序を守るようになってから、どんなに感情的な患者さんでも、最後は笑顔でお帰りいただけるようになりました。
感情的な患者さんとの接客は確かに大変ですが、適切に対応できれば、より深い信頼関係を築けます。明日からの接客で、ぜひこの順序を意識してみてください!