毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。回りくどい言い方で患者さんを混乱させ、「はっきり言ってくれたら助かるのに」と叱られたことがあります。面倒くさがりな私でも続けられた、直接的に伝えるための練習法をまとめました。
なぜ日本人は直接表現が苦手なのか
「和を乱さない」価値観がブレーキになる
相手を傷つけない、場を和ませる――その優しさが、言葉を遠回しにさせます。私も「言い過ぎて嫌われたらどうしよう」と考えすぎて、結局何も決められなかった経験があります。
役割期待の高さ
上司は包容力、後輩は従順さ、医療者は丁寧さ…と役割に縛られ、「率直に言うと失礼では?」と思い込みがちです。しかし、曖昧な指示がミスにつながる現場では、直接表現こそ安全装置です。
直接的コミュニケーションを身につける3ステップ
ステップ1:目的を最初に宣言する
「安全のために率直に言います」「時間がないので結論から伝えます」と前置きすると、直接表現が角を立てにくくなります。私は投薬時に「飲み方を間違えないために、少しハッキリ言いますね」と宣言するだけで、受け止め方が変わりました。
ステップ2:結論 → 理由 → 具体例 の順で話す
遠回しになるのは構成が曖昧だから。まず結論を一行で置き、その理由と具体例を続けると、短くても伝わります。
- 結論:「夜は必ず食後30分以内に飲んでください」
- 理由:「効果を一定に保つためです」
- 具体例:「例えば22時に夕食なら、22時30分までに飲むイメージです」
ステップ3:オープンクエスチョンで確認
「この説明で不安は解けましたか?」よりも「どこがモヤっとします?」と聞くと、相手が率直に感想を言いやすい。直接的に伝えた後こそ、柔らかく意見を引き出します。
練習メニュー:一人でできる基礎トレ
鏡トーク30秒
鏡に向かい、結論→理由→具体例の順で30秒話します。表情が固まっていないか、眉間にシワが寄っていないかをチェック。私はこれで眉を上げすぎるクセに気づき、穏やかなトーンに修正できました。
メモ化リハーサル
言いたいことを3行メモにしてから話す練習です。「結論/理由/一言エピソード」を箇条書きするだけで、回りくどさが消えます。
ボイスメモ振り返り
スマホに録音して聞き返すと、余計な枕詞や口癖がわかります。私は「もしよければ」「できれば」を連発していたので、半分に削るだけでぐっと直接的になりました。
二人以上での実践ドリル
サンドイッチ・フィードバック
「良い点 → 改善点 → 良い点」で挟む練習。直接的な改善点を真ん中に置くと、受け入れやすくなります。
役割交代ロールプレイ
上司役と部下役を交代しながら、率直な依頼をするロールプレイ。言いにくいフレーズを口に出す慣れが身につきます。
時間制限シャドーイング
1分で結論を伝える練習を繰り返します。時間を区切ると、優先度が自然と絞られ、言葉が直線的になります。
現場で使える直接フレーズ集
- 「結論から言うと〇〇です」
- 「安全のため、遠回しにせず伝えます」
- 「今のところ、◯◯の方法が最善です」
- 「ここだけは譲れません。理由は〇〇です」
- 「迷わせたくないので、選択肢はAかBのどちらかです」
文化を尊重しつつ率直に伝える工夫
相手の選択権を残す
「提案を3つ出します。選ぶのはあなたです」と添えると、直接的でも押し付けに見えません。
感謝とセットで伝える
「率直に言わせてもらいます。聞いてくれてありがとうございます」と感謝を先に置くと、柔らかい印象になります。
事前に合図を決める
チームで「率直タイム」の合図を決めておくと、直接表現モードに切り替えやすい。薬局では「安全確認します」と言った瞬間から、遠慮なく指摘するルールにしています。
体験談:怒られる覚悟で率直に伝えた日
研修医の先生に「その飲み合わせは危険です」とストレートに伝えたとき、怒鳴られる覚悟でした。でも結果は「教えてくれて助かった」。安全のための直接表現は、役割を越えて感謝されると知りました。怖かったけど、黙っていたら患者さんが危険だった。あの日以来、率直に言う勇気が持てるようになりました。
まとめ:直接性は思いやりの近道
遠回しは優しさのつもりでも、相手を迷わせたり安全を脅かしたりします。目的を宣言し、結論から伝え、相手の言葉で確認する。このシンプルな型を練習すれば、直接的でも信頼を得られる話し方になります。今日から30秒の鏡トークで、率直に伝える筋力を鍛えましょう。
仕事で使える直接メール・チャット例
依頼メール
- 件名:明日のカンファ資料を【18時まで】に送付ください
- 本文:結論→目的→期限→形式で一行ずつ。「患者情報欄を最新にするため、18時までにPDFで送ってください。差し替えが必要な点があれば赤字で」
チャットでの合意取り
- 「A案で進めたいです。反対なら15時までに教えてください。なければ決定にします」
- 「安全確認のため強めに言いますが、B薬との併用は不可です。疑問点があれば10分で話しましょう」
断りのメッセージ
- 「結論:本日は対応が難しいです。理由:在庫が足りず安全性が担保できません。代替案:明日午前に確保次第連絡します」
遠回しなお詫びよりも、時間と代替案をセットにすると誠実さが伝わります。
“直接的すぎた”ときのフォロー術
感情を言語化する
「言い方が強かったらごめんなさい。安全を守りたくてストレートに言いました」と自分の意図と感情をセットで伝えると、角が取れます。
相手の気持ちを聞き直す
「率直に言われてどう感じましたか?」と尋ねると、相手のモヤモヤを拾えます。私はこれで「助かった」「少し傷ついた」など素直な反応をもらい、次に活かせました。
文脈を補足する
「急いでいたので結論を先に言いました。次回は背景も添えますね」と説明すれば、今後の期待値が揃います。
直接表現の効果を測る指標
- 説明後の質問数が減ったか
- 誤配・誤解が減ったか
- 依頼のリードタイムが短縮したか
- 相手から「分かりやすい」と言われる頻度
私の職場では、結論先出しを徹底した月は問い合わせ件数が20%減りました。数字で効果を見ると、練習のやる気が続きます。
これから始める人へのミニゴール
- 今日からメール件名に【期限】を入れる
- 1日1回、鏡トークで結論→理由→具体例を30秒話す
- 週1回、同僚とロールプレイで率直な依頼を練習
小さなゴールを積み重ねれば、直接表現は筋トレのように確実に強くなります。

