毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。患者さんから「前回話したこと覚えててくれたんですね!」って言われると、すごく嬉しいんですよね。
でも人間の記憶って限界があります。特に多くの患者さんと接してると、「あれ?この人、何の話をしてたっけ?」ってなることも。
そこで活用してるのが「会話メモ」です。患者さんとの会話の重要なポイントを記録して、次回の接客に活かす。これだけで長期的な信頼関係が劇的に変わります。
今日は年間1万人との接客で効果を実感した、会話メモの活用法をお話しします。
会話メモの効果
会話メモを活用すると、こんな効果があります:
患者さん側の効果:
- 「覚えててもらえてる」という安心感
- 継続的なケアを受けている実感
- 薬局への信頼度向上
- より深い相談をしやすくなる
薬剤師側の効果:
- 前回の状況を正確に把握できる
- より的確なアドバイスができる
- 患者さんとの会話がスムーズになる
- 業務の質が向上する
私も会話メモを始める前は、患者さんから「前に話した件どうなりましたか?」って聞かれて、「すみません、もう一度教えてください」って言うことがありました。でもメモを取るようになってから、そういうことがなくなったんです。
記録すべき内容の5つのカテゴリー
1. 体調・症状に関する情報
記録例:
- 「前回:頭痛薬の効果について相談」
- 「膝の痛みで歩行困難、来月手術予定」
- 「血圧の薬で朝の立ちくらみあり」
- 「睡眠薬の量を減らしたいと希望」
活用例:
次回来局時:「前回お話しいただいた膝の痛み、いかがですか?手術のご予定はいかがでしょうか?」
2. 家族・生活状況
記録例:
- 「一人暮らし、息子さんが週1回様子見に来る」
- 「お孫さんの運動会が楽しみ」
- 「ご主人の介護で大変」
- 「仕事が忙しく、通院時間の調整が困難」
活用例:
「お孫さんの運動会はいかがでしたか?お天気も良かったみたいで良かったですね」
3. 薬に関する特記事項
記録例:
- 「錠剤が飲みにくい、粉薬希望」
- 「朝の薬を飲み忘れがち」
- 「以前、抗生物質でお腹の調子悪くなった」
- 「お薬手帳を持参し忘れることが多い」
活用例:
「前回、錠剤が飲みにくいとおっしゃってましたが、今回のお薬はいかがですか?」
4. 嗜好・価値観
記録例:
- 「自然療法に関心が高い」
- 「データや根拠を重視する」
- 「副作用を非常に心配される」
- 「コスト意識が高い」
活用例:
この情報を基に、説明の仕方や提案する内容を調整する
5. 趣味・関心事
記録例:
- 「ガーデニングが趣味」
- 「孫の野球チームの応援」
- 「料理教室に通っている」
- 「海外旅行によく行く」
活用例:
「お庭の花、もう咲きましたか?今の季節はガーデニングが楽しいでしょうね」
効果的なメモの取り方
1. リアルタイムメモ
方法:
- 会話中に重要なポイントをさりげなくメモ
- 処方箋の余白や薬歴に簡単にメモ
- 後で整理する前提で、とにかく記録
コツ:
- 「大切なことなので、メモさせていただきますね」と一言断る
- 患者さんの話を止めないよう、聞きながらメモ
- 完全な文章でなく、キーワードだけでOK
2. 接客後メモ
方法:
- 接客が終わった直後に詳細を記録
- 電子薬歴のコメント欄に入力
- 次回の接客で注意すべき点も記載
タイミング:
- 患者さんがお帰りになった直後
- その日の業務終了時
- 翌日の朝一番
3. 週次・月次まとめ
方法:
- 週に1回、特に印象的だった患者さんの情報を整理
- 月に1回、長期通院患者さんの状況を見直し
- 必要に応じて薬歴の内容を更新
患者タイプ別メモ戦略
高齢者の患者さん
重点的に記録する内容:
- 家族構成・サポート体制
- 身体機能の変化
- 薬の管理状況
- 趣味や生きがい
実例:
「田中さん(78歳):月1回息子さんが薬を取りに来る。ラジオ体操が日課。膝の調子により歩行困難な日あり。お薬カレンダー使用中」
働き世代の患者さん
重点的に記録する内容:
- 仕事の忙しさ・時間制約
- 通院・服薬の課題
- 家族への配慮
- ストレス要因
実例:
「山田さん(45歳):営業職で出張多い。朝の服薬忘れがち。中学生の息子の部活動をサポート。ストレス性の胃痛あり」
子育て世代の患者さん
重点的に記録する内容:
- 子どもの年齢・人数
- 育児の大変さ
- 時間の制約
- 子どもの薬に関する相談
実例:
「佐藤さん(32歳):2歳と5歳の子育て中。授乳中のため薬に慎重。子どもの風邪薬についてよく相談。平日午前中の来局が多い」
記録ツールと管理方法
1. 電子薬歴の活用
メリット:
- 他のスタッフとも情報共有可能
- 検索機能で過去の記録を探しやすい
- データのバックアップが取れる
記録のコツ:
- 薬歴のコメント欄を有効活用
- 特記事項欄に会話内容を記載
- 日付と併せて記録
2. 個人メモ帳
メリット:
- 手軽に書ける
- 自由な形式で記録可能
- すぐに見返せる
管理のコツ:
- 患者さんのイニシャル+年代で管理
- 重要度に応じて★マークなどで区別
- 定期的に電子薬歴に転記
3. スマートフォンアプリ
メリット:
- 移動中でも確認できる
- 音声メモ機能も活用可能
- 写真やボイスメモも記録可能
注意点:
- 個人情報の取り扱いに注意
- パスワード保護は必須
- 定期的にバックアップを取る
プライバシーと情報管理
記録する際の注意点
プライバシーの保護:
- 患者さんの同意を得てから記録
- 必要最小限の情報に留める
- 推測や主観は避け、事実のみ記録
情報の取り扱い:
- 個人情報保護法に従った管理
- 第三者に見られない場所で記録
- 不要になった情報は適切に削除
記録の目的を明確に:
- より良い薬剤師サービス提供のため
- 患者さんの安全性向上のため
- 継続的なケア提供のため
実際の活用事例
事例1:定期通院の糖尿病患者さん
記録内容:
「鈴木さん(65歳):元教師、几帳面な性格。HbA1cの数値を気にされる。奥様が食事管理をサポート。孫の大学受験が心配事」
活用例:
3ヶ月後の来局時:「お孫さんの受験はいかがでしたか?ご家族で心配されてましたものね。血糖値の管理も受験期間中は大変だったでしょう」
事例2:子育て中のお母さん
記録内容:
「田中さん(28歳):3歳の男の子のママ。子どもの薬を嫌がることで困っている。夫は単身赴任中」
活用例:
次回の来局時:「前回、お子さんがお薬を嫌がるとおっしゃってましたが、その後いかがですか?何か良い方法は見つかりましたか?」
事例3:高齢の一人暮らし患者さん
記録内容:
「山田さん(82歳):一人暮らし、近所に娘さん。趣味は俳句。記憶力の低下を心配されている」
活用例:
来局時:「今日も良い俳句は詠めましたか?季節の移り変わりを詠むのがお上手でしたよね」
継続のコツ
1. 完璧を求めない
全ての患者さんの全ての会話を記録する必要はありません。重要だと思った内容だけでOK。
2. 習慣化する
- 接客後にメモを取る習慣をつける
- 1日の終わりに5分間、記録を見直す
- 週に1回、重要な患者さんの状況を確認
3. 効果を実感する
記録が役立った事例を振り返り、継続の動機にする。
4. チーム内で共有
同僚と情報共有することで、薬局全体のサービス向上につながる。
まとめ:小さな記録が大きな信頼を生む
会話メモは、患者さんとの長期的な信頼関係を築くための強力なツールです。
ポイントまとめ:
- 体調・家族・薬・嗜好・趣味の5つのカテゴリーで記録
- リアルタイム・接客後・定期まとめで効率的に管理
- 患者タイプに応じて記録内容を調整
- プライバシー保護を最優先に
- 完璧を求めず、継続することが大切
最初は面倒に感じるかもしれませんが、患者さんから「覚えててくれたんですね!」って言われた時の嬉しさは格別です。
私も毎日の積み重ねで、多くの患者さんとより深い関係を築けるようになりました。薬剤師として、患者さん一人ひとりに寄り添えている実感が得られます。
明日からの接客で、ぜひ会話メモを試してみてください。きっと患者さんとの関係が変わりますよ!