**毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。**薬局には毎日初対面の患者さんがいらっしゃいます。限られた時間の中で信頼関係を築き、お薬の説明を理解していただくためには、短時間で距離を縮めるコミュニケーション術が欠かせません。
今回は、初対面の相手とも自然に親しくなれるフォローアップクエスチョンの使い方をお伝えします。
初対面でのフォローアップクエスチョンの重要性
初対面の相手との会話では、お互いに警戒心があるのが自然です。そんな中で、相手の話に関心を示し、適切にフォローアップクエスチョンを使うことで、「この人は私に興味を持ってくれている」という印象を与え、心の距離をぐっと縮めることができます。
薬局での実例
患者さん: 「今日は会社を休んで来ました」
基本的な対応: 「そうですか、お疲れ様です」
フォローアップクエスチョン: 「お忙しい中、時間を作っていただいてありがとうございます。お仕事、大変でしたか?」
この一言があるだけで、患者さんの表情が和らぎ、その後の説明も聞いていただきやすくなります。
初対面で使いやすいフォローアップクエスチョン
1. 相手の状況に共感する質問
相手の発言: 「電車が遅れて大変でした」
フォローアップクエスチョン:
- 「それはお疲れ様でした。何線をお使いになったんですか?」
- 「朝の通勤ラッシュは本当に大変ですよね。普段はどのくらいかかるんですか?」
- 「遅延の時って、会社への連絡とか大変じゃないですか?」
共通の体験(電車の遅延)から会話を広げることで、親近感が生まれます。
2. 相手の地域・出身について
相手の発言: 「実家から野菜が送られてきて」
フォローアップクエスチョン:
- 「実家はどちらなんですか?」
- 「どんな野菜が送られてくるんですか?」
- 「ご実家で農業をされているんですね。美味しそう!」
地域の話は比較的安全で、話しやすいトピックです。
3. 相手の趣味・興味について
相手の発言: 「週末は映画を見ました」
フォローアップクエスチョン:
- 「どんな映画をご覧になったんですか?」
- 「面白かったですか?」
- 「映画館で見るのと家で見るの、どちらがお好きですか?」
4. 季節・天気に関連した質問
相手の発言: 「今日は暖かいですね」
フォローアップクエスチョン:
- 「お散歩日和ですね。普段は運動とかされるんですか?」
- 「こういう日は外に出たくなりますよね。お休みの日はどんな風に過ごされるんですか?」
初対面で避けるべき質問
1. 個人的すぎる質問
- 年収、貯金額
- 恋愛関係、結婚歴
- 家族の詳細な職業
- 病気の詳細
2. 論争になりやすい話題
- 政治的な話
- 宗教的な話
- 社会問題への強い意見
3. 相手を評価するような質問
- 「それって正しいんですか?」
- 「なぜそう思うんですか?」(批判的なトーン)
距離を縮めるフォローアップクエスチョンのコツ
1. 相手の良いところを見つけて質問する
例:
相手:「子どもの送り迎えで忙しくて」
自分:「毎日お疲れ様です。お子さんのために時間を作るのって、本当に大変ですよね。どんな習い事をされているんですか?」
相手の努力を認めてから質問することで、好印象を与えます。
2. 自分の体験も軽く加える
例:
相手:「最近ジョギングを始めました」
自分:「素晴らしいですね!私も運動しなきゃと思いつつ、なかなか続かなくて…どんなきっかけで始められたんですか?」
完璧な人よりも、親近感のある人間らしさを見せることで距離が縮まります。
3. 相手の感情に注目する
例:
相手:「久しぶりに旅行に行けました」(嬉しそうに)
自分:「とても楽しそうですね!どちらに行かれたんですか?」
相手の表情や声のトーンから感情を読み取って反応しましょう。
実践例:薬局での初対面の患者さんとの会話
ケース1:忙しそうな会社員の方
患者さん: 「薬をもらいに来ました」(急いでいる様子)
私: 「お忙しい中、ありがとうございます。お仕事中にお時間を作るのは大変でしたか?」
患者さん: 「会議の合間を縫って来たので、ちょっと急いでいて…」
私: 「そうでしたか。効率的にご説明させていただきますね。お仕事、営業系でいらっしゃいますか?」
患者さん: 「IT関係の仕事です」
私: 「IT関係でしたら、きっと忙しい毎日ですよね。お体に気をつけてくださいね」
この短い会話で、患者さんの状況を理解し、共感を示すことができました。
ケース2:年配の方
患者さん: 「孫の世話で疲れました」
私: 「お孫さんの面倒を見られているんですね。きっとかわいくて仕方ないでしょうね」
患者さん: 「そうなんです。でも最近の子は元気すぎて…」
私: 「今はどのくらいの年齢のお孫さんですか?」
患者さん: 「3歳の男の子で、本当に手がかかって」
私: 「3歳くらいが一番活発な時期ですよね。おじいちゃん、お疲れ様です」
相手の立場に共感し、具体的な状況を聞くことで会話が弾みました。
初対面での信頼関係構築のポイント
1. 相手のペースに合わせる
急いでいる人には簡潔に、時間のある人にはゆっくりと対応しましょう。
2. 笑顔と適度なアイコンタクト
表情と視線で「あなたに関心があります」というメッセージを送りましょう。
3. 相手の名前を覚えて使う
可能であれば相手の名前を会話の中で使うことで、親近感が増します。
4. 共通点を見つける
出身地、趣味、経験など、何か共通点があると一気に距離が縮まります。
まとめ
初対面の相手とのコミュニケーションは緊張するものですが、フォローアップクエスチョンを上手に使うことで、短時間でも相手との距離を縮めることができます。
薬局での経験から言えるのは、技術よりも「相手に関心を持つ」気持ちが一番大切だということです。相手の話をしっかり聞き、適切なタイミングで質問することで、初対面でも自然に親しくなれる関係を築けるはずです。
次に初対面の方とお話しする機会があったら、ぜひ今回紹介したフォローアップクエスチョンを試してみてください。きっと相手との距離がぐっと近づくことを実感できるでしょう。