毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。「何度教えても覚えない」と感じた瞬間、つい説教したくなりますよね。私も調剤歴10年目まで、答えを押しつけては関係を壊していました。今回は、覚えられない理由を一緒に掘り下げる会話の設計図を共有します。
覚えられない裏側にある3つの壁
情報過多
新人は一日に20以上のルールを浴びています。脳のメモリが飽和すると、優先順位がつけられない。ある日、3人の新人に「どれが最重要?」と聞いたら、全員答えが違いました。まず情報量を整理する会話が必要です。
感情のブレーキ
ミスを恐れて手が動かなくなることもあります。以前、監査台で新人が固まっていたので話を聞くと、「先輩の前だと手が震える」と。感情を言語化するだけで指が動き始めました。
生活リズム
夜勤明けで研修に来るスタッフは眠気との闘い。覚えられないのは能力ではなく、体の準備不足。ヒアリングで生活背景を知ることが、対話の第一歩です。
一緒に考える会話のフレーム
STEP1:状況を並べて可視化
ホワイトボードに「できたこと」「つまずいたこと」を一緒に書き出します。言葉では曖昧な記憶も、視覚化すると客観的に見えます。私は患者対応フローを図で描き、矢印の途中に“詰まった場所”を赤丸で表示しています。
STEP2:原因の仮説を3つ出す
「記憶」「理解」「環境」と3カテゴリに分け、それぞれに仮説を置きます。「記憶ならメモ不足」「理解なら目的が曖昧」「環境なら音がうるさい」など。仮説を並べることで、責めるモードではなく探究モードに切り替わります。
STEP3:検証アクションを決める
仮説ごとに「今日試すこと」を決めます。例えば「患者説明の順番をイラストで描く」「1時間ごとに復習クイズをする」など。行動が決まれば、相手は自分ごととして動きやすい。
質問テンプレで根っこを探る
時系列で聞く
「いつつまずいた?」「その直前に何をしてた?」と時系列で聞くと、記憶が具体化します。
五感で聞く
「その時どんな音がしてた?」「周りにいたのは誰?」と聞けば、環境要因が見えてきます。
例外を探す
「うまくいった日はあった?」と逆質問すると、成功パターンが浮かび、再現ポイントをつかめます。
私が実際にやった“共考”セッション
15分タイマー法
覚えられないと訴える新人と15分のタイマーをセットし、質問とメモだけに集中。タイマーが鳴ったら、相手にメモを要約してもらう。自分の言葉で整理すると記憶が定着しやすく、解決策も本人から出てきます。
付箋マッピング
机に「手順」「道具」「患者情報」と書いた付箋を貼り、つまずいた順に並べてもらう方法。付箋が抜けたところが弱点です。視覚的なので、口下手なスタッフでも説明しやすいです。
役割交代ロープレ
覚えられない側に講師役をやってもらい、私が新人役を演じる。教える側に回ると、理解が浅い箇所が露出します。恥ずかしさを減らすために「5分だけの実験」と伝えると気軽に取り組めます。
会話を支えるツール
3行カルテ
学びのカルテをA5用紙に作り、「できた」「困った」「次に試す」の3行だけ記入。毎日蓄積し、週1で一緒に眺めると、学習曲線が見えて励みになります。
感情サーモグラフ
感情を0〜5で色塗りしてもらう表。色が濃い日は「緊張5」など視覚化され、こちらも配慮しやすい。私は冷蔵庫に貼り、シフトごとに書き換えてもらっています。
音声メモ共有
薬歴端末のボイスメモ機能を使い、帰宅時に30秒だけ復習メモを送ってもらう。翌朝それを聞いてから指導すると、会話が前日の続きから始められます。
覚えられないと言われた時のNG対応
「何回言った?」でカウントする
回数を強調すると、相手は失敗記録しか感じません。代わりに「覚えやすい形はどれ?」と問い直しましょう。
解決策を即答する
相手の考える余地を奪うと、自立が進みません。沈黙に耐え、相手の案を待つ勇気が必要です。
「私の頃は」で比較する
時代も環境も違う話はプレッシャーになるだけ。代わりに「今の状況でベストなやり方を探そう」と共闘姿勢を見せること。
まとめ:問いを共有すると学びが進む
覚えられない理由は、本人が一番困っています。こちらが答えを押し付けるのではなく、「何が邪魔してる?」と問いを共有するだけで、相手は自分の脳を使い始める。ホワイトボードや付箋を使い、仮説→検証のループを回す。薬局の忙しさの中でも、15分の共考セッションを組み込めば、学びの速度は驚くほど変わります。今日から質問を一つだけ変えて、一緒に原因を掘り当ててみませんか。

