毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。薬局でも値段や薬の種類で折り合いをつける場面が多いので、自然とネゴシエーションスキルが磨かれていきます。交渉って聞くだけで身構えてしまう人も多いですが、実はコツさえ掴めば怖くありません。今日は、仕事でもプライベートでも使える交渉術を紹介します。
読者の悩み
強く出ると関係が悪くなる
交渉の場でこちらの希望を強く押すと、その場は通っても関係がこじれる。逆に遠慮しすぎるとこちらが損をする。薬局でも薬価の相談をするときに同じようなジレンマを感じます。
相手が何を考えているかわからない
相手の本音が読めないと、どこまで譲ればいいのか判断できません。沈黙されると不安になるし、感情的になられるとこちらも冷静さを失います。
時間が限られていて焦る
交渉は時間との勝負でもあります。薬剤の仕入れ価格を決める会議でも、短い時間で結論を出さないといけないので焦ります。焦りは判断ミスのもとです。
原因を理解する
事前情報が足りない
相手のニーズや制約を知らないまま交渉に臨むと、的外れな提案をしてしまいます。薬局で新しいサービスを導入する時も、相手の店舗事情を調べておかないと話が進みません。
感情のコントロールができていない
感情的になると論理が飛びます。僕も以前、値下げを迫られてイラッとしてしまい、つい強い言葉を返してしまったことがあります。その結果、信頼を失い、交渉が白紙になりました。
ゴールが曖昧
どこまで譲れるのか、最終的に何を得たいのかを決めていないと、途中で迷子になります。薬の仕入れ価格交渉でも、「このラインを越えたら撤退する」と決めておくと判断がぶれません。
解決手順
相手の立場を調べる
交渉前に相手の事情をリサーチしましょう。相手が抱える課題や欲しいものを把握しておくと、提案に説得力が出ます。薬剤師同士の相談でも、相手の調剤量や患者層を知っていると話が早いです。
ゴールと譲歩ラインを明確にする
交渉の前に「ここまでなら譲れる」というラインを決めておきましょう。これは自分を守るための基準になります。僕は紙に書き出しておき、会議前に何度も確認します。
聞き役に回る
まずは相手に話してもらうことで、ニーズが見えてきます。沈黙が怖くても、あえて相手が口を開くまで待つことが大事です。薬局でも「何か気になることはありますか？」と聞いて、患者さんの本音を引き出すようにしています。
共通の利益を提示する
交渉は勝ち負けではなく、双方にメリットがある形を目指します。「この条件ならお互いの利益が最大になります」という視点を忘れないようにしましょう。薬剤の共同購入を提案するときも、コスト削減という共通の利益を強調します。
感情を言語化する
怒りや不安を感じたら、それをそのまま抱え込むのではなく、「私は今こう感じています」と言葉にすると冷静さを保てます。患者さんに不満をぶつけられたときも、「そう感じられたのですね」と返すだけで空気が和らぎます。
実践例・注意点
実践例: 薬価交渉
仕入れ先の担当者に「今期の予算が厳しいので、単価を5%下げてもらえませんか」と打診しました。その際、「こちらは発注量を増やします」と伝え、双方のメリットがある形にしたところ、無事に合意できました。相手の利益を尊重したことが成功の要因でした。
実践例: 患者さんとの相談
ジェネリックへの切り替えを提案したところ、患者さんが不安そうな顔をしたので、まず不安の理由を聞き出しました。「以前合わなかった薬があって…」とのことだったので、成分の違いや副作用について丁寧に説明し、納得してもらいました。聞き役に回ることで信頼を得られました。
注意点: 脅しに屈しない
交渉の場では時に圧力をかけられますが、怖気づくと足元を見られます。冷静に事実を積み重ね、「その条件では難しい」と毅然と伝える勇気も必要です。
注意点: 条件は必ず文書に残す
口頭での合意は後で食い違いが生じやすいので、メールや議事録に残すようにしましょう。薬局でも取引条件は必ず文書で確認するようにしています。
まとめ
ネゴシエーションスキルは特別な才能ではなく、準備と心構えで誰でも身につけられます。相手の立場を理解し、ゴールを明確にし、冷静に話を進めることで交渉はうまくいきます。薬局で培った現場感覚を活かし、今日から少しずつ実践してみてください。
