毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。教える立場に立つほど、こちらの感情が乱れると伝えたいことがズレていきます。忙しい薬局で新人さんを指導していると、焦りと心配がいっぺんに押し寄せ、つい声が荒くなる。あの日の失敗を思い出しながら、感情の整理をどう仕組みに落とし込んだかをまとめました。
感情が整わないと起きる現場のズレ
気持ちがそのまま言葉に乗ってしまう
処方箋が重なる夕方、確認前に患者さんが待っている。焦った私は新人の手元を見ながら「違う違う」と小声で言ってしまい、新人が固まりました。指導よりもこちらの焦りが伝わり、結局やり直し。感情のノイズが、そのまま作業効率を落とす典型です。
感情疲れは判断ミスを増やす
苛立ちを抱えたまま会話すると、質問が攻め口調になり、相手の情報を引き出せません。「なんでできてないの?」と聞けば、言い訳大会になる。感情整理は、ミスを責める前に状況を把握する土台づくりだと痛感しました。
感情を整える3ステップ
1. 体の合図を拾う
心拍と呼吸が早くなる瞬間を、自分の危険信号に設定しました。クラークさんに「一度深呼吸してきます」と伝え、処方鑑査室の壁を触りながら10秒カウント。体から感情へアクセスすると、思考にスペースが戻ります。
2. 事実メモを先に書く
怒りの理由を頭で考えると主観だらけになるので、ポストイットに「14:20 アルファベット入力ミス」「患者待ち3名」と事実のみをメモ。事実を見直すと「まあ初回なら普通だよな」と気持ちが沈静化します。薬局では棚の端にミニメモを常設し、誰でも書けるようにしました。
3. 伝える目的を一言で決める
声をかける前に「安全の確認」「患者説明の補強」など目的を口に出します。目的が定まると、語尾が柔らかくなり、相手の表情も和らぐ。これを新人にも共有し、指導前の合言葉にしました。
感情整理を習慣化する会話テンプレ
状況 → 気持ち → 依頼
「今〇〇の状況で私は△△と感じている。だから□□してほしい」という三段構成を使うと、余計な感情が混ざりません。例えば「在庫問い合わせが重なって焦ってる。まず薬歴をそろえてくれる?」と伝えれば、相手は責められていると感じにくい。
失敗後のリセットフレーズ
怒りが噴き出した後は、「さっききつく聞こえたらごめん、整理し直そう」と先に謝る。これで場が冷えるまでの時間を短縮できます。謝罪が目的ではなく、再度目的にフォーカスするためのリセットです。
教える人ほど抱えやすい4つの感情
焦り
患者を待たせたくない焦りは善意ですが、言葉が命令形になります。焦りを感じたら、まず「時間を区切る発言」をする。「あと3分で戻るから確認してみて」と伝えると、自分にも相手にも猶予が生まれます。
不安
「また同じミスが起きるのでは」という不安は、チェックリスト不足から来ることが多いです。私は一包化監査での注意点をカード化し、感情ではなくリストが指摘してくれる状態を作りました。
罪悪感
厳しく言いすぎた後のモヤモヤは、相手へのフォローでしか解消できません。終業後に「今日はあの場を守ってくれて助かった」と感謝を添えると、罪悪感が役に立った実感に変わります。
期待
「これくらいできてほしい」という期待が高すぎると、ギャップが怒りに変わります。期待値を口に出し、段階ごとのゴールを共有しましょう。私は新人と「今日は2件正確に説明できたら合格」と合意します。
感情整理を仕組み化するアイテム
感情ログノート
A6ノートに日付・感情・トリガー・取った行動を3行で記録。1週間後に見返すと、自分の怒りポイントがパターン化されます。私は月曜の午前にイライラしやすいと分かり、在庫発注を前日に回すように変えました。
フィードバック3色ペン
褒める・直す・確認の3色を決め、指摘ごとに色分け。色で感情を可視化すると、赤ばかりの日は自分が焦っている証拠。意識的に緑(褒め)を追加するようになります。
共有ホワイトボード
感情整理の手順をボードに掲示し、誰でも見える状態にしました。メンバーから「Ryoさん今黄色ゾーン?」と声をかけられることもあり、チーム全体で感情を言語化する文化が育ちました。
現場で使えるフレーズ集
感情を予告する
「今ちょっと焦り気味だから、一緒に確認しながら進めたい」
相手の感情を尊重する
「驚いた顔に見えたけど、どう感じた?その感情を大事にしながら進めよう」
目的を握り直す
「患者さんに安心してもらうのが一番。だから手順をおさらいしよう」
まとめ:感情は管理ではなく循環
感情を抑え込むのではなく、体→言葉→行動の順で循環させると、教える立場のしんどさがグッと減ります。焦ったら深呼吸、言葉が荒くなったら事実メモ、罪悪感が残ったら感謝で帳尻を合わせる。どれも5分以内でできる工夫です。指導者の感情が整うと、相手も安心してミスを共有できる。薬局でもオフィスでも、まず自分の心を片づけてから伝える癖をつけてみてください。

