毎日40人・年間1万人以上と会話しているRyoです。薬の説明って、伝えたいことがたくさんあって、どこから話せばいいかわからなくなることありませんか?
「副作用も伝えたいし、飲み方も大切だし、保存方法も…」って詰め込みすぎて、結局何が一番重要なのか相手に伝わらない。これ、めちゃくちゃもったいないんです。
今日は年間1万人に説明してきてわかった、要点を整理して確実に伝える話し方をお話しします。
なぜ要点整理が重要なのか?
人間の集中力って、実は3分程度しか続かないんです。
薬局での説明も、最初の1〜2分で一番重要なことを伝えないと、後半はほとんど聞いてもらえません。特に体調が悪い患者さんや高齢者の方は、長い説明を聞くのがしんどいんです。
私も新人の頃は、薬のことを全部説明しようとして、10分近く話してました。でも患者さんの表情を見ると、途中から「もういいから早く終わって」って感じになってるのがわかるんです。
それで気づいたんです。全部伝えようとするより、重要なことを確実に伝える方が、はるかに効果的だって。
情報の優先順位をつける3つの基準
1. 安全性に関わること(最優先)
例:
- 飲み合わせの注意
- アレルギーの可能性
- 運転への影響
- 副作用の初期症状
これらは絶対に最初に伝えます。命に関わる可能性があるからです。
60代の山田さんに睡眠薬を渡す時、「まず一番大切なことをお伝えします。この薬を飲んだ後は、絶対に運転しないでください」って最初に言います。
2. 効果に直結すること(重要)
例:
- 正しい服用方法
- 服用タイミング
- 飲み忘れた時の対処法
- 治療期間
薬の効果を得るために必要な情報です。
3. 利便性に関すること(補足)
例:
- 保存方法
- 旅行時の注意
- お薬手帳への記録
- 次回受診のタイミング
大切だけど、時間がない時は省略可能な情報です。
「3つのポイント」で構造化する
人間が一度に覚えられる情報って、3つが限界だと言われています。
だから説明を3つのポイントに絞って話すんです。
構造化の例:
「○○さんのお薬について、3つの大切なポイントをお伝えします」
- 飲み方:「毎朝食後に1錠」
- 注意点:「眠気が出る可能性があります」
- 期間:「まずは2週間続けてください」
「以上3つが今回の重要なポイントです。ご質問はございませんか?」
この構造にすると、患者さんも「3つ覚えればいいんだ」って安心してくれます。
効果的な話し方のテクニック
1. 結論から先に言う
悪い例:
「このお薬なんですが、血圧を下げる効果があって、副作用もいくつかあるんですけど、その中でも特に気をつけてほしいのが咳なんです」
良い例:
「まず結論からお伝えします。この薬で咳が出ることがあります。もし咳が続くようでしたら、すぐにご連絡ください」
結論を最初に言うことで、相手の注意を引けます。
2. 数字を使って具体化する
曖昧な表現:
「しばらく飲んでください」
具体的な表現:
「まずは2週間、毎日飲んでください」
曖昧な表現:
「たまに副作用があります」
具体的な表現:
「100人中2〜3人に眠気が出ることがあります」
数字があると、相手は状況をイメージしやすくなります。
3. 「なぜなら」を使って理由を説明
例:
「毎日同じ時間に飲んでください。なぜなら、血液中の薬の濃度を一定に保つことで、効果が安定するからです」
理由がわかると、患者さんも納得して指示を守ってくれます。
シチュエーション別の要点整理
初回処方の場合
構造例:
- この薬の目的:「血圧を下げるお薬です」
- 飲み方:「毎朝食後に1錠」
- 注意点:「立ちくらみに注意してください」
薬が変更になった場合
構造例:
- 変更理由:「前の薬で副作用が出たため」
- 新しい薬の特徴:「副作用が少ないタイプです」
- 飲み方の違い:「1日2回に変わります」
複数の薬がある場合
構造例:
- メインの薬:「血圧の薬が一番重要」
- サポートの薬:「胃を守る薬も一緒に」
- 全体の注意点:「飲み忘れ防止のコツ」
相手の理解度を確認する方法
1. オープンクエスチョンで確認
例:
- 「飲み方について、ご質問はございませんか?」
- 「何か心配なことはありますか?」
- 「今の説明で、わかりにくい部分はありましたか?」
2. 要点を復唱してもらう
例:
「念のため確認させてください。いつ飲んでいただくお薬でしたか?」
相手に復唱してもらうことで、理解度がわかります。
3. 表情やしぐさを観察
- 首をかしげている→理解できてない
- メモを取っている→真剣に聞いている
- 時計を見ている→急いでいる
表情を見ながら、説明のペースを調整します。
時間がない時の要点整理
忙しい時でも、最低限これだけは伝える、っていう「ミニマム要点」を決めておきます。
30秒バージョン:
「飲み方は朝食後に1錠、眠気に注意、2週間続けてください」
1分バージョン:
「血圧を下げるお薬です。毎朝食後に1錠飲んでください。立ちくらみや眠気が出ることがあるので注意してください。まずは2週間続けて、次回受診時に効果を確認しましょう」
時間に応じて、伝える情報を調整します。
よくある失敗パターン
失敗パターン1:専門用語を使いすぎる
「ACE阻害薬で、血管拡張作用により降圧効果を示します」
→「血管を広げて血圧を下げるお薬です」
失敗パターン2:一気に全部説明しようとする
情報を詰め込みすぎて、相手が混乱してしまう。
失敗パターン3:重要度を伝えない
全部同じトーンで話すと、何が重要なのかわからない。
まとめ:要点整理は相手への思いやり
要点を整理して話すって、相手の時間と集中力を大切にすることなんです。
ポイントまとめ:
- 優先順位をつける(安全性→効果→利便性)
- 3つのポイントに構造化
- 結論から先に言う
- 数字で具体化
- 理解度を確認する
長々と説明するより、短時間で要点を確実に伝える方が、患者さんにとってもありがたいはずです。
私も毎日の説明で、「今日はこの3つだけは絶対に伝えよう」って決めてから話すようにしてます。そうすると、患者さんも「わかりやすかった」って言ってくれることが増えました。
明日からの薬の説明で、ぜひ要点整理を意識してみてください。きっと患者さんの反応が変わりますよ!